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国民年金が払えないときは?免除・納付猶予・失業特例をわかりやすく解説

退職や失業、収入の減少などで、

「国民年金まで払う余裕がない」
「このまま払わなかったらどうなる?」
「無職なら免除してもらえる?」

と不安になる方もいるでしょう。

2026年度の国民年金保険料は、月額17,920円です。収入が減った直後には、大きな負担に感じることもあります。

国民年金保険料を払うことが難しいときは、未納のまま放置せず、保険料免除制度や納付猶予制度を利用できないか確認することが大切です。

退職・失業した方には、前年の所得について特例を受けられる場合もあります。

この記事では、国民年金を払えないときに確認したい免除・納付猶予の違い、失業した場合の特例、申請方法や必要書類について、できるだけ分かりやすく解説します。

※この記事は2026年9月20日時点の制度をもとにしています。

国民年金が払えないときは未納のまま放置しない

国民年金保険料を払えないからといって、そのまま何もしないのは避けましょう。

経済的に納付することが難しい場合には、主に次の制度を申請できる可能性があります。

  • 保険料免除制度
  • 保険料納付猶予制度

なお、学生は通常の免除・納付猶予制度ではなく、「学生納付特例制度」を確認します。

免除・納付猶予と未納は同じではない

「どれも保険料を払わないなら同じでは?」と思うかもしれません。

しかし、免除・納付猶予と未納では扱いが大きく違います。

免除や納付猶予の承認を受けた期間は、老齢基礎年金を受け取るための受給資格期間に含まれます。

一方、何も手続きをせず未納になった期間は、原則として受給資格期間に含まれません。

また、未納期間があると、一定の場合に障害基礎年金や遺族基礎年金を受けられないことがあります。

「今は払えないから後で考えよう」と放置せず、早めに免除や猶予を確認しましょう。

国民年金の免除と納付猶予の違い

免除と納付猶予は似ていますが、所得を審査する人や、将来の年金額への反映が異なります。

主な違いをまとめると、次のとおりです。

項目保険料免除納付猶予
主な対象所得が一定以下、失業などで納付が難しい人20歳以上50歳未満で所得が一定以下の人
所得を確認する人本人・配偶者・世帯主本人・配偶者
世帯主の所得審査対象審査対象ではない
保険料全額または一部を免除納付を猶予
受給資格期間含まれる含まれる
将来の老齢基礎年金額一部反映される追納しなければ反映されない
追納10年以内なら可能10年以内なら可能

免除は本人・配偶者・世帯主の所得を確認する

保険料免除では、原則として、

  • 本人
  • 配偶者
  • 世帯主

それぞれの所得を確認します。

そのため、本人が無職でも、配偶者や世帯主の所得によっては免除にならない場合があります。

納付猶予では世帯主の所得を確認しない

納付猶予は20歳以上50歳未満の方が対象で、

  • 本人
  • 配偶者

の所得を確認します。

世帯主の所得は審査対象ではありません。

たとえば実家で親と同居していて、世帯主である親の所得によって免除が認められない場合でも、本人と配偶者が所得要件を満たしていれば、納付猶予に該当する可能性があります。

「親に収入があるから無理だろう」と自己判断せず、納付猶予も確認しましょう。

免除・納付猶予には所得基準がある

免除や納付猶予は、単純に「無職かどうか」だけで決まる制度ではありません。

主な所得基準は次のとおりです。

区分所得基準
全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
納付猶予(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

ここでいう「所得」は、給与の「年収」と同じ意味ではありません。

扶養親族の人数や各種控除などによっても判定が変わります。

そのため、「年収○万円だから絶対に免除される」「この年収なら申請しても無理」と決めつけないことが大切です。

国民年金の免除には4種類ある

国民年金の保険料免除には、次の4種類があります。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

2026年度の通常の国民年金保険料は月額17,920円です。

一部免除が承認された場合に納める月額は、次のようになります。

免除の種類2026年度に納める月額
全額免除0円
4分の3免除4,480円
半額免除8,960円
4分の1免除13,440円

一部免除では残りの保険料を必ず納める

ここは特に注意したいポイントです。

4分の3免除、半額免除、4分の1免除が承認された場合は、免除されなかった残りの保険料を納める必要があります。

たとえば半額免除が認められた場合、2026年度なら月額8,960円を納付します。

「半額免除が認められたから、何も払わなくてよい」ということではありません。

減額後の保険料を納めなかった場合は、一部免除が無効となり、その期間が未納になります。

免除決定の通知が届いたら、全額免除なのか一部免除なのかを必ず確認しましょう。

退職・失業した人は失業等による特例を確認する

退職したばかりの方が免除制度について調べると、

「去年は会社員として働いていたから、前年所得が高くて対象にならないのでは?」

と考えることがあります。

しかし、失業・倒産・事業の廃止などが確認できる場合には、失業等による特例があります。

退職による特例では、退職した本人の前年所得をゼロとして審査します。

前年の収入が高くても申請できる場合がある

前年まで会社員として働き、現在は退職して収入が大きく減っている場合でも、失業等の特例を利用できる可能性があります。

そのため、

「去年は収入があったから申請しても無理」

と決めつける必要はありません。

退職後にまだ国民年金への切り替え自体をしていない方は、退職後の国民年金への切り替え手続きを確認するも参考にしてください。

配偶者や世帯主の所得には注意する

失業特例があるからといって、失業した方が必ず全額免除になるわけではありません。

退職した本人の前年所得はゼロとして審査されますが、免除の場合は配偶者や世帯主の所得も審査対象になります。

納付猶予の場合も、配偶者の所得は審査対象です。

「失業した=必ず免除」と考えず、申請後の審査結果を確認しましょう。

失業特例で必要になる主な書類

失業等による特例を利用するときは、失業したことを確認できる書類が必要です。

会社員だった方では、たとえば次のような書類があります。

  • 雇用保険被保険者離職票のコピー
  • 雇用保険受給資格者証のコピー
  • 雇用保険受給資格通知のコピー

事業を廃止・休止した場合などは、必要になる証明書類が異なります。

また、同じ失業等の事由で以前の申請時に証明書類を提出している場合は、再提出が不要になることもあります。

何を用意すればよいか分からないときは、市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所へ確認してから準備すると安心です。

国民年金の免除・納付猶予はどこで申請する?

主な申請方法は次のとおりです。

  • 住所地の市区町村の国民年金担当窓口
  • 年金事務所
  • 郵送
  • マイナポータルからの電子申請

免除申請をするために、必ず市役所へ行かなければならないわけではありません。

市区町村の国民年金窓口で申請する

市役所・区役所・町村役場などの国民年金担当窓口でも申請できます。

担当部署や受付時間は自治体によって異なるため、公式サイトで確認しておくとスムーズです。

窓口で相談したい場合は、

「国民年金を払うのが難しいのですが、免除か納付猶予を申請できますか?」

と伝えると用件が分かりやすくなります。

年金事務所でも申請できる

年金事務所でも申請できます。

過去の未納期間がある場合や、自分がどの制度に該当するのか分かりにくいときは、相談しながら確認する方法もあります。

マイナポータルから電子申請もできる

免除・納付猶予は、マイナポータルから電子申請できます。

マイナンバーカードを利用してオンラインで手続きできるため、窓口へ行く時間を取りにくい方は確認してみましょう。

免除・納付猶予の申請に必要なもの

基礎年金番号で申請する場合は、

  • 基礎年金番号通知書
  • 年金手帳など基礎年金番号を確認できるもの

などを用意します。

マイナンバーで申請する場合は、マイナンバーカードなど本人確認に必要な書類を使用します。

失業等による特例を利用するときには、離職票など失業を確認できる書類も必要です。

所得証明書は原則として不要

免除・納付猶予の申請では、所得を証明する書類の添付は原則として必要ありません。

ただし、本人・配偶者・世帯主など審査対象となる方について、必要な税申告がされていない場合は、市区町村民税の申告が必要になることがあります。

窓口で迷いやすいのは、この部分です。

「所得証明書を取ればよい」と考える前に、必要な住民税の申告が済んでいるか確認しておきましょう。

過去の未納分も免除申請できる?

「数か月前から払えていないけれど、今から免除申請できる?」

という方もいるでしょう。

免除・納付猶予は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間について、さかのぼって申請できます。

目安としては、申請時点から2年1か月前までです。

申請できる期間には期限がある

「2年1か月前までなら、あとでまとめて申請すればよい」と考えるのは注意が必要です。

月ごとに申請期限があるため、時間がたつほど申請できない月が増えていきます。

また、申請が遅れた間に病気や事故などで障害が残った場合、後からさかのぼって免除申請をしても、障害基礎年金などの保険料納付要件に間に合わないことがあります。

払えないと分かった時点で、できるだけ早く申請することが大切です。

免除・納付猶予を受けると将来の年金はどうなる?

免除や納付猶予を利用すると、

「将来の年金がまったくもらえなくなるのでは?」

と心配になる方もいるでしょう。

免除期間は老齢基礎年金の受給資格期間に含まれ、免除の種類によって一定割合が将来の年金額にも反映されます。

状態受給資格期間老齢基礎年金額への反映
全額納付含まれる全額反映
全額免除含まれる全額納付の1/2
4分の3免除+残額納付含まれる5/8
半額免除+残額納付含まれる6/8
4分の1免除+残額納付含まれる7/8
納付猶予含まれる追納しなければ反映なし
未納原則含まれない反映なし

つまり、全額免除でも将来の年金額への反映がゼロになるわけではありません。

一方、納付猶予は受給資格期間には含まれますが、追納しなければ老齢基礎年金額には反映されません。

免除・猶予された保険料はあとから追納できる

免除や納付猶予を受けた期間については、後から生活に余裕ができた場合に「追納」できます。

原則として、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間について追納できます。

追納することで、将来の老齢基礎年金額を満額に近づけることができます。

ただし、免除・猶予を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。

また、一部免除期間については、当時の減額後の保険料を納めていなければ追納できません。

免除・納付猶予は原則として年度ごとに申請する

免除・納付猶予は、原則として年度ごとに申請します。

ここで注意したいのが「年度」の区切りです。

国民年金保険料でいう2026年度は、

2026年4月~2027年3月

です。

一方、免除・納付猶予申請でいう2026年度は、

2026年7月~2027年6月

となります。

同じ「2026年度」でも期間が違うため、申請する月を確認するときは注意しましょう。

継続審査になる場合もある

全額免除または納付猶予が承認され、翌年度以降も継続を希望している場合は、一定の条件のもとで継続審査を受けられることがあります。

ただし、失業等による特例で承認された場合は、翌年度も改めて申請が必要です。

一部免除が承認された場合も、翌年度に改めて申請する必要があります。

「去年免除されたから今年も自動」とは限らないため、通知や申請状況を確認しましょう。

学生は学生納付特例を確認する

学生は、通常の免除・納付猶予制度ではなく「学生納付特例制度」を確認します。

学生本人の前年所得が一定以下の場合に、在学中の国民年金保険料の納付を猶予してもらえる制度です。

家族の所得は審査対象ではありません。

大学・短期大学・高等学校・専修学校など、対象となる学校には条件があります。

学生の方は「無職だから免除」と考えず、学生納付特例の対象になるか確認しましょう。

生活保護や一定の障害年金を受けている人は法定免除を確認する

生活保護の生活扶助を受けている方や、障害基礎年金・一定の障害年金を受けている方などには、「法定免除」という制度があります。

通常の所得審査による申請免除とは仕組みが異なります。

対象になる可能性がある方は、市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所へ確認してください。

出産する人には産前産後期間の免除がある

国民年金第1号被保険者が出産する場合には、産前産後期間の保険料免除制度があります。

原則として、出産予定日または出産日がある月の前月から4か月間、多胎妊娠の場合は3か月前から6か月間が対象です。

この期間は通常の申請免除とは違い、保険料を納めた期間として老齢基礎年金額に反映されます。

すでに通常の免除や納付猶予を受けている場合でも、産前産後免除の対象であれば届出を確認しましょう。

2026年10月1日から育児期間の免除制度が始まる

この記事の公開日である2026年9月20日時点では施行前ですが、2026年10月1日から「国民年金保険料の育児免除制度」が始まります。

1歳未満の子を養育する国民年金第1号被保険者が対象で、一定の要件を満たす実父母・養父母は、所得にかかわらず保険料の免除を受けられます。

さらに、育児免除を受けた期間は、単に支払いを猶予されるのではなく、保険料を納付したものとして老齢基礎年金額に反映されます。

1歳未満の子を育てている方は、2026年10月1日以降、この制度についても確認しましょう。

国民年金が払えないときによくある質問

無職なら必ず全額免除になりますか?

いいえ。

無職で収入がなくても、自動的に全額免除になるわけではありません。

免除では本人だけでなく、配偶者や世帯主の所得も審査します。

退職・失業した本人については、前年所得をゼロとして審査する特例がありますが、配偶者や世帯主の所得状況などによって結果は変わります。

実家暮らしで親に収入があると免除されませんか?

免除制度では、世帯主の所得も審査対象です。

そのため、世帯主である親の所得によって免除が認められない場合があります。

ただし、20歳以上50歳未満であれば、世帯主の所得を審査しない納付猶予に該当する可能性があります。

本人や配偶者の所得要件もあるため、実際に対象になるか確認しましょう。

免除申請中に納付書が届いたらどうすればいいですか?

免除・納付猶予の申請と納付書の発送が行き違いになることがあります。

申請中なのに納付書や案内が届いた場合は、申請結果や現在の処理状況を市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所へ確認しましょう。

一部免除が承認された場合は、減額後の保険料を納める必要があります。

免除されると将来の年金がもらえなくなりますか?

免除の承認を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。

全額免除の場合でも、現在の制度では全額納付した場合の2分の1が老齢基礎年金額に反映されます。

ただし、全額納付した場合より将来の年金額は少なくなります。

経済的に余裕ができた場合は、10年以内の追納も検討できます。

まとめ|国民年金が払えないときは未納にせず免除・猶予を確認しよう

国民年金保険料を払うことが難しいときは、何も手続きをせず未納のままにしないことが大切です。

まず、自分の状況に応じて、

  • 学生なら学生納付特例
  • 退職・失業したなら失業等による特例
  • 所得が少ない場合は免除
  • 20歳以上50歳未満なら納付猶予
  • 出産する場合は産前産後免除
  • 2026年10月以降、1歳未満の子を養育する場合は育児免除

を確認しましょう。

申請は、市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所のほか、郵送・マイナポータルでもできます。

過去の未納期間についても一定期間は申請できますが、期限があるため早めの対応が重要です。

退職後は年金以外にも、健康保険や住民税、雇用保険などの確認が必要になる場合があります。退職後に必要な手続きをまとめて確認すると、手続き漏れを防ぎやすくなります。

また、収入が減って国民健康保険料の支払いも難しい場合は、国民健康保険料も払えないときの相談方法を確認するも参考にしてください。

失業後の住民税については、失業・無職になったときの住民税の減免について確認するで詳しく解説しています。

国民年金を払えないときは、「払えないから放置する」のではなく、自分が利用できる制度がないか確認して申請することから始めましょう。

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