同じ市区町村内で引っ越したときは、住民票の住所を変更するために「転居届」を出します。
市役所へ行こうと思っても、
- 何を持っていけばいい?
- マイナンバーカードは必要?
- 印鑑は持っていく?
- 家族に頼むなら委任状がいる?
- 引っ越し前に手続きしてもいい?
など、意外と迷うことが多い手続きです。
転居届そのものでは、まず窓口へ行く人の本人確認書類などを確認します。
一方、マイナンバーカードを持っている人や、国民健康保険・介護保険などを利用している人は、転居届と一緒に別の住所変更手続きが必要になることがあります。
この記事では、転居届に必要なもの、期限、代理人による手続き、マイナンバーカードの住所変更まで、元市役所職員の視点も交えながらわかりやすく解説します。
※この記事でいう「転居届」は、市役所などで住民票の住所を変更する手続きです。郵便局へ出す郵便物の転送手続きとは別です。
市役所と郵便局の手続きの違いは、転居届と転送届の違いは?市役所・郵便局の手続きと両方必要かを解説で詳しく解説しています。
転居届に必要なものは?まず持ち物を確認
転居届を窓口で出す場合、まず確認しておきたいものは次のとおりです。
- 窓口へ行く人の本人確認書類
- 転居届・住民異動届
- マイナンバーカード(持っている人)
- 委任状(代理人が手続きする場合)
- 国民健康保険や介護保険などの関係書類(該当する人)
- 在留カードや特別永住者証明書(該当する人)
ただし、すべての人にこれら全部が必要というわけではありません。
大切なのは、
「転居届そのものに必要なもの」
と
「転居に伴う別の手続きで必要になるもの」
を分けて考えることです。
たとえば、マイナンバーカードは転居届そのものを出すための絶対的な必須書類ではありません。
一方、カードを持っている人は住所変更が必要になるため、転居届と一緒に持参して手続きを済ませると二度手間を防ぎやすくなります。
本人確認書類
転居届を窓口で出すときは、窓口へ来た人の本人確認が行われます。
本人確認書類として案内されているものには、たとえば次のようなものがあります。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- パスポート
- 資格確認書など
ただし、どの書類が使えるか、1点でよいか複数必要かなど、具体的な確認方法は自治体によって異なります。
「手元にある書類で大丈夫かわからない」という場合は、市区町村の公式サイトを確認するか、窓口へ行く前に電話で問い合わせておくと安心です。
転居届・住民異動届
転居届の用紙は、市役所や区役所などの窓口に用意されていることがあります。
自治体によっては「転居届」という専用の用紙ではなく、「住民異動届」で転居の届出を受け付けています。
そのため、窓口で手続きする場合は、必ずしも自宅で用紙を準備して持参する必要はありません。
用紙の名称や事前記入の可否は自治体によって違うため、公式サイトの案内を確認してください。
マイナンバーカードを持っている人
マイナンバーカードを持っている人は、転居届と一緒にカードの住所変更も確認しましょう。
「マイナンバーカードがないと転居届を出せないの?」と思う方もいるかもしれません。
転居届そのものは、マイナンバーカードがなければ絶対にできない手続きではありません。
一方、カードを持っている場合は、新住所をカードに反映する手続きが必要です。
マイナンバーカードの記載内容に変更があった場合は、14日以内に市区町村へ届け出てカードの記載内容を変更する必要があります。
転居届と同じ日に住所変更まで済ませたい場合は、カードを忘れずに持参しましょう。
印鑑は必要?
転居届そのものについて、印鑑を不要としている自治体があります。
そのため、「転居届には必ず印鑑が必要」とは限りません。
ただし、転居届と同じ日に国民健康保険など別の手続きをする場合は、それぞれ必要な持ち物が異なることがあります。
心配な場合は、
「同じ市内で引っ越します。転居届のほかに国民健康保険の手続きもありますが、何を持っていけばいいですか?」
というように、自分が利用している制度まで伝えて問い合わせると確認しやすいでしょう。
国民健康保険・介護保険などに該当する人
転居届を出す人の状況によっては、住所変更に伴う別の確認や手続きも必要になります。
たとえば、
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療
- 介護保険
- 児童手当
- 子どもの医療費助成
- マイナンバーカード
などです。
国民健康保険に加入している人は、資格確認書などについて手続きが必要か、自治体の案内を確認してください。
2026年9月時点では、従来の健康保険証はすでに有効期限が終了しています。
そのため、古い情報を参考にして「健康保険証を持っていけばよい」と判断せず、現在使っている資格確認方法に応じて必要なものを確認しましょう。
転居届以外に必要になる役所手続きは、引っ越し後の役所手続き一覧|市役所で必要なもの・期限・注意点を元市役所職員が解説でまとめています。
転居届とは?同じ市区町村内で引っ越したときの手続き
住民基本台帳法では、「転居」を一つの市町村の区域内で住所を変更することとしています。
一般的には、
「○○市1丁目から同じ○○市の3丁目へ引っ越した」
というように、市区町村そのものが変わらない住所変更で転居届を行います。
ただし、政令指定都市で区をまたぐ場合などは、自治体の案内上「転入届」「市内転入」など別の名称で手続きを案内していることがあります。
そのため、同じ市内だからといって、必ず窓口で「転居届」という名称になるとは限りません。
市外へ引っ越す場合は転出届・転入届
別の市区町村へ引っ越す場合は、通常は転居届ではなく、
- 旧住所の市区町村で転出届
- 新住所の市区町村で転入届
を行います。
自分が転居届と転入届のどちらに当てはまるか迷う方は、転居届と転入届の違いは?どちらを出すか・期限・必要書類を元市役所職員が解説も確認してください。
政令指定都市で区をまたぐ場合は自治体の案内を確認
政令指定都市では、市内で別の区へ引っ越すときの手続き方法や名称に注意が必要です。
たとえば神戸市では、同じ区内の引っ越しは「転居届」ですが、市内で別の区へ引っ越す場合は、新しい住所地の区役所で「転入届」をするよう案内しています。
旧住所地の区で転出届をする必要はありません。
このように、同じ市内であっても窓口での案内が異なる場合があります。
区をまたいで引っ越すときは、新住所を管轄する自治体の公式サイトを確認してください。
東京23区で別の区へ引っ越す場合にも注意
東京23区では、それぞれの特別区が住民基本台帳法上の「市町村」に含まれます。
そのため、たとえば渋谷区から新宿区へ引っ越す場合は、単なる区内転居ではありません。
旧住所の区で転出届、新住所の区で転入届を行います。
「同じ東京都内だから転居届」と考えないよう注意しましょう。
転居届はいつまで?引っ越した日から14日以内
転居届は、実際に新しい住所へ住み始めた日から14日以内に届け出ます。
これは住民基本台帳法で定められている全国共通の期限です。
ポイントは、引っ越し予定日ではなく、実際に新しい住所へ移った日を基準にすることです。
転居届は引っ越し前には出せない
転出届と混同しやすいところですが、転居届は引っ越し前には出せません。
転出届は引っ越し前に「あらかじめ」届け出る手続きですが、転居届は実際に新しい住所へ移った後に行います。
「引っ越し前に役所関係を全部終わらせたい」と思っても、転居届については新しい住所に住み始めてから手続きしましょう。
14日を過ぎてしまった場合
転居届を出さないまま14日を過ぎてしまっても、「もう手続きできない」ということではありません。
気づいた時点で、できるだけ早く市区町村へ相談して届出をしてください。
住民基本台帳法では、正当な理由なく転居届などをしない場合、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。
ただし、
「14日を1日でも過ぎたら自動的に5万円を支払う」
という意味ではありません。
また、「罰金」と「過料」は同じものではありません。
遅れてしまった場合は放置せず、まず自治体へ相談して必要な手続きを進めましょう。
本人以外が転居届を出す場合に必要なもの
仕事などで本人が窓口へ行けず、家族や代理人に転居届を頼みたいこともあるでしょう。
このとき注意したいのが、「家族なら委任状はいらない」とは限らないことです。
同一世帯の人が手続きする場合
自治体では、本人のほか、世帯主や同じ世帯の世帯員を届出人として案内している場合があります。
ただし、具体的に誰が届出人になれるかは自治体の案内を確認してください。
本人以外が窓口へ行く場合は、窓口へ行く人自身の本人確認書類も準備しましょう。
別世帯の家族や代理人が手続きする場合
親子や夫婦であっても、住民票上の世帯が別になっている場合は、委任状が必要になることがあります。
たとえば、
- 親が一人暮らしをしていて、別住所の子どもが代理で手続きする
- 同じ住所に住んでいても、住民票上は別世帯になっている
といった場合です。
「家族かどうか」だけではなく、住民票上で同じ世帯なのかまで確認することが大切です。
委任状と代理人の本人確認書類
代理人が転居届をする場合は、
- 委任状
- 代理人自身の本人確認書類
などが必要になります。
委任状の様式や必要な記載事項は自治体によって異なります。
ホームページから委任状をダウンロードできる自治体もあるため、窓口へ行く前に確認しましょう。
マイナンバーカードを持っている人は住所変更も確認
マイナンバーカードを持っている場合は、転居届だけでなくカードの住所変更も必要です。
転居届だけを済ませてカードの変更を忘れると、後日もう一度窓口へ行くことになりかねません。
カードを持っている人は、転居届と同じ日に住所変更もできるよう準備しておきましょう。
数字4桁の暗証番号を確認しておこう
マイナンバーカードの住所変更では、住民基本台帳用などの数字4桁の暗証番号を使用する手続きがあります。
普段あまり入力しないため、
「カードは持ってきたけれど暗証番号がわからない」
ということもあります。
転居届とカードの住所変更を同じ日に済ませたい場合は、4桁の暗証番号も確認しておくとスムーズです。
暗証番号が分からない方は、マイナンバーカードの暗証番号を忘れたら?再設定方法とロック解除を元市役所職員が解説も参考にしてください。
署名用電子証明書も確認
住所が変わると、マイナンバーカードに搭載されている署名用電子証明書は失効します。
e-Taxなどで引き続き署名用電子証明書を使いたい場合は、再発行の手続きも確認しましょう。
署名用電子証明書では、数字4桁とは別に、6~16桁の英数字の暗証番号を使用します。
住所変更と電子証明書の再発行を同じ日にしたい人は、こちらの暗証番号も確認しておくと安心です。
代理人の場合はマイナンバーカードの手続きを別に確認
ここは特に注意したいポイントです。
家族や代理人が転居届を出せる場合でも、
「そのまま本人のマイナンバーカードの住所変更や電子証明書の手続きまで同じ条件でできる」
とは限りません。
自治体によっては、代理人による転居届をした当日にマイナンバーカードの住所変更ができなかったり、電子証明書の手続きに別の委任状や照会書が必要になったりします。
本人以外が窓口へ行く場合は、
「転居届だけでなく、本人のマイナンバーカードの住所変更と電子証明書の手続きもしたい」
と自治体へ伝え、必要なものを事前に確認しておくのがおすすめです。
転居届はどこで出す?オンライン・郵送でもできる?
転居届は、住所を管轄する市役所・区役所などの窓口で手続きするのが基本です。
ただし、自治体によって、
- 本庁舎
- 区役所
- 支所
- 出張所
など、受け付ける場所が異なります。
近くの行政窓口ならどこでもできるとは限らないため、事前に自治体公式サイトで確認しましょう。
マイナポータルで転居届そのものはオンライン提出できない
マイナンバーカードがあれば、転居届もマイナポータルだけで完結できると思う方もいるかもしれません。
しかし、全国共通のマイナポータルの引越し手続では、転居届そのものをオンライン提出することはできません。
マイナポータルでは、
- 転出届のオンライン申請
- 転入届や転居届を出すための来庁予定の申請
などができます。
転居届そのものは、窓口で提出する必要があります。
来庁予定の申請や事前入力を利用できる場合がある
マイナポータルでは、転居届を提出するための来庁予定を新住所の自治体へ知らせることができます。
また、自治体独自に、
- 窓口予約
- 申請内容の事前入力
- 申請書の事前作成
などを用意している場合もあります。
利用できるサービスは自治体によって違うため、窓口での待ち時間を減らしたい人は、自治体公式サイトも確認してみましょう。
郵送できるかは自治体へ確認
転出届は郵送に対応している自治体がありますが、転居届とは手続きが異なります。
転居届を窓口手続きとして案内している自治体もあるため、
「転出届が郵送できるから転居届も郵送できる」
とは考えないようにしましょう。
本人が窓口へ行くのが難しい場合は、代理人による届出を含め、利用できる方法を自治体へ確認してください。
外国人住民は在留カードなども確認
中長期在留者が住所を変更した場合は、在留カードの住居地変更も必要です。
在留カードを市区町村の窓口へ持参して転居届を行えば、入管法上の住居地変更の届出も行ったものとみなされます。
住居地を変更した中長期在留者の届出期間も、新しい住居地へ移転した日から14日以内です。
特別永住者についても、特別永住者証明書を持っている場合は自治体の案内を確認してください。
また、外国人住民で転居前後に世帯構成が変わる場合などは、続柄を確認する書類や訳文を求められることがあります。
転居届と一緒に確認したい手続き
同じ市区町村内の引っ越しでも、住民票の転居届だけですべての住所変更が終わるとは限りません。
該当する人は、
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療
- 介護保険
- 児童手当
- 子どもの医療費助成
- マイナンバーカード
などについて、住所変更や追加手続きが必要か確認しましょう。
必要な手続きは、世帯構成や加入している制度によって変わります。
役所へ問い合わせるときは、
「同じ市内で引っ越しました。国保に加入していて、子どももいます。転居届と一緒に必要な手続きを教えてください」
というように、自分の状況を具体的に伝えると確認しやすくなります。
引っ越し後に必要な役所手続き全体を確認したい方は、引っ越し後の役所手続き一覧|市役所で必要なもの・期限・注意点を元市役所職員が解説も参考にしてください。
転居届に必要なものについてよくある質問
転居届にマイナンバーカードは必ず必要ですか?
転居届そのものを出すために、マイナンバーカードが絶対に必要というわけではありません。
ただし、カードを持っている人はカードの住所変更が必要になるため、転居届と一緒に持参すると手続きをまとめやすくなります。
転居届に印鑑は必要ですか?
転居届そのものについて、印鑑を不要としている自治体があります。
ただし、国民健康保険など同じ日に行う別の手続きで必要なものが異なる場合があります。
自治体公式サイトで、転居届以外の関連手続きも含めて確認しましょう。
家族なら委任状なしで転居届を出せますか?
家族であれば必ず委任状が不要とは限りません。
同一世帯の世帯員を届出人として案内している自治体がありますが、別世帯の親族などが代理で手続きする場合は委任状が必要になることがあります。
家族関係だけでなく、住民票上の世帯を確認してください。
転居届は引っ越し前に出せますか?
転居届は、実際に新しい住所へ住み始めてから行う手続きです。
引っ越し前に提出することはできません。
新しい住所へ移った日から14日以内に手続きしましょう。
転居届はオンラインで出せますか?
全国共通のマイナポータルサービスでは、転居届そのものをオンライン提出することはできません。
マイナポータルでは、転居届を出すための来庁予定の申請などができます。
自治体独自の窓口予約や事前入力サービスが利用できる場合もあるため、公式サイトを確認してください。
同じ市内で区が変わる場合も転居届ですか?
必ずしも自治体の窓口で「転居届」という名称になるとは限りません。
政令指定都市では、別の区へ引っ越す場合に、新住所地の区で「転入届」や「市内転入」などとして案内している自治体があります。
同じ市内だからと自己判断せず、区をまたぐ場合は自治体公式サイトを確認してください。
転居届を14日過ぎてしまったらどうすればいいですか?
14日を過ぎていても、転居届をしなくてよくなるわけではありません。
気づいた時点で早めに自治体へ相談し、手続きを進めてください。
法律上、正当な理由なく届出をしない場合は5万円以下の過料の対象となる可能性がありますが、14日を過ぎたら自動的に5万円が課されるという意味ではありません。
まとめ|転居届は必要なものを確認して引っ越し後14日以内に手続きしよう
転居届は、住民基本台帳法上、一つの市町村の区域内で住所を変更した場合に行う手続きです。
実際に新しい住所へ住み始めた日から14日以内に届け出ます。
転居届を窓口で出すときは、まず窓口へ行く人の本人確認書類を確認しましょう。
そのうえで、該当する人は、
- マイナンバーカード
- 委任状
- 国民健康保険などの関係書類
- 在留カードや特別永住者証明書
などを追加で確認します。
特に注意したいのは、
- 家族なら必ず委任状不要
- マイナンバーカードがないと転居届を出せない
- マイナポータルで転居届までオンライン完結できる
- 同じ市内なら窓口でも必ず転居届という名称になる
とは限らないことです。
また、マイナンバーカードを持っている人は、カードの住所変更や署名用電子証明書の再発行についても確認しておくと二度手間を防ぎやすくなります。
必要なものや受付窓口、代理人の取扱いには自治体差があります。
窓口へ行く前に公式サイトを確認し、不明点がある場合は、「同じ市内での引っ越し」「区をまたぐ」「代理人が行く」「マイナンバーカードを持っている」「国保に加入している」など、自分の状況を伝えて問い合わせると確認しやすいでしょう。