給与明細や市役所から届いた通知書を見て、「市民税と住民税は別の税金?」「県民税まで払うと二重払いにならない?」と戸惑っていませんか。
似た名前の税金が並んでいるため、税金に詳しくない方が迷うのは無理もありません。
結論からいうと、個人市民税は個人住民税の一部です。
この記事では、個人にかかる市民税・県民税・住民税の関係を整理し、所得税や地方税との違い、通知書を見るときのポイントまで、元市役所職員の視点でやさしく解説します。
市民税と住民税の違いは?結論は「市民税は住民税の一部」
市民税と住民税は、まったく別の税金ではありません。
個人住民税は、原則として市町村民税と道府県民税を合わせた呼び方です。
市に住んでいる方の場合、市町村民税にあたる部分が「市民税」と呼ばれます。
まずは「市民税は住民税の中に含まれている」と覚えると、通知書や給与明細の名称を理解しやすくなります。
住民税は市町村民税と道府県民税を合わせた呼び方
住民税には、個人にかかる「個人住民税」と、会社などの法人にかかる「法人住民税」があります。
一般の方が給与明細や納税通知書で目にする住民税は、多くの場合、個人住民税のことです。
個人住民税は、主に次の2つで構成されています。
- 市区町村に納める市町村民税
- 都道府県に納める道府県民税
窓口でも、「住民税という税金が、市民税とは別に上乗せされるのですか」と不安そうに尋ねる方は少なくありません。
しかし、住民税は市町村民税と道府県民税をまとめた名称であり、市民税とは別に同じ税金をもう一度納めるわけではありません。
市に住んでいる人は「市民税+県民税」を納める
市に住んでいる方の個人住民税は、一般的に「市民税」と「県民税」で構成されます。
町や村に住んでいる場合は、町民税または村民税と県民税です。
東京都の特別区では「特別区民税・都民税」、大阪府や京都府では「市民税・府民税」、北海道では「市民税・道民税」などの名称が使われます。
通知書を開いて見慣れない名称があると、「新しい税金が増えたのでは」と焦ることもあるでしょう。
名称が違っていても、まずは個人住民税の内訳ではないかを確認すると、落ち着いて判断できます。
住民税と市民税を二重に払うわけではない
個人の市町村民税と道府県民税は、原則として市区町村がまとめて税額を通知し、徴収します。
そのため、納付書に「市民税・県民税」や「市県民税」と書かれていても、県民税だけを県庁へ別に納める必要は通常ありません。
給与明細に「住民税」、通知書に「市民税・県民税」と表示され、別の支払いだと思ってしまう方もいます。
職員側から見ても、この名称の違いは説明が難しく、誤解されやすい部分です。
課税年度や金額に心当たりがない場合は、通知書を手元に置き、市区町村の住民税担当窓口へ確認すると安心です。
市民税・県民税・住民税の関係をわかりやすく整理
「市民税と県民税は、どこが違うの?」という疑問も多いでしょう。
どちらも個人住民税を構成する税金ですが、納める地方自治体の区分が異なります。
ただし、納税者が市と県の窓口で別々に手続きをするわけではありません。
市民税は市町村に納める住民税
個人市民税は、市が行う身近な行政サービスを支える地方税の一つです。
市町村民税のうち、市に住所がある人などに課税されるものが市民税と呼ばれます。
町であれば町民税、村であれば村民税です。
「以前は町民税だったのに、引っ越したら市民税と書かれている」と戸惑う方もいます。
名称が変わっても、いずれも市町村民税にあたると考えると理解しやすいでしょう。
県民税は都道府県に納める住民税
県民税は、都道府県が行う広域的な行政サービスなどを支える地方税です。
市民税と同じく、個人住民税の一部にあたります。
東京都では都民税、大阪府や京都府では府民税、北海道では道民税という名称が使われます。
市民税と県民税は納める地方自治体の区分が異なりますが、どちらも個人住民税の内訳です。
通知書に2つの金額が書かれていても、同じ税金が重複して課税されているわけではありません。
市民税と県民税は市区町村がまとめて通知・徴収する
個人の市町村民税と道府県民税は、市区町村があわせて税額を計算し、通知・徴収するのが原則です。
窓口では、「県民税について県庁にも支払いに行くのでしょうか」と心配される方もいます。
しかし、納付書や口座振替、給与からの天引きなどに、市民税と県民税の両方が含まれているのが一般的です。
税額に疑問があるときは、まず通知書を発行した市区町村の住民税担当課へ問い合わせましょう。
自治体によって担当課の名称が異なるため、公式サイトで「個人住民税」または「市民税・県民税」と検索すると見つけやすくなります。
所得税と市民税・住民税の違い
所得税と住民税は、どちらも個人の所得に関係する税金です。
ただし、納める相手や税額が決まる時期、徴収方法などが異なります。
| 比較項目 | 所得税 | 個人市民税・個人住民税 |
|---|---|---|
| 税金の分類 | 国税 | 地方税 |
| 納める先 | 国 | 市区町村・都道府県 |
| 所得の時期 | 原則としてその年の所得 | 原則として前年の所得 |
| 主な相談先 | 税務署 | 市区町村 |
所得税は国税、市民税・住民税は地方税
所得税は国に納める国税です。
一方、市民税や県民税を含む個人住民税は、地方自治体に納める地方税に分類されます。
どちらも所得に関係するため、同じ税金を二重に払っているように感じるかもしれません。
しかし、国と地方自治体がそれぞれ行政サービスを行うため、別の税金として設けられています。
所得税の基本的な相談先は税務署、個人住民税の相談先は市区町村です。
所得税はその年、住民税は前年の所得が基本
所得税は、原則として1月1日から12月31日までのその年の所得を基に計算します。
給与所得や事業所得などに対する個人住民税は、原則として前年の所得を基に市区町村が計算し、翌年度に課税します。
そのため、退職して現在の収入がなくても、前年に一定の所得があれば住民税の納付が続く場合があります。
退職後に納付書が届き、「計算間違いではないか」と驚く方も少なくありません。
まずは納税通知書に書かれた課税年度と、計算の基になった前年の所得を確認しましょう。
なお、退職所得など、前年所得課税とは異なる取扱いが行われる所得もあります。
給与から引かれる時期と税額の決まり方も異なる
会社員の所得税は、毎月の給与や賞与から源泉徴収され、通常は年末調整で年間の過不足を精算します。
個人住民税は、市区町村が計算した税額を、給与から差し引く「特別徴収」や、納付書などで自分で納める「普通徴収」により納付します。
一定の条件に該当する方は、公的年金から特別徴収される場合もあります。
給与明細に所得税と住民税が並んでいても、計算の時期や納付先が異なる税金です。
税額を確認するときは、源泉徴収票や住民税の税額決定通知書を用意しておくと、問い合わせがスムーズです。
地方税と市民税の違いは「全体」と「一部」
地方税と市民税も、まったく別の関係ではありません。
地方税は、都道府県や市区町村に納める税金の総称です。
その地方税の中に個人住民税があり、個人住民税の一部として市民税があります。
地方税は都道府県や市区町村に納める税金の総称
税金は、大きく国税と地方税に分けられます。
所得税や相続税など、国に納める税金が国税です。
都道府県や市区町村などの地方自治体に納める税金は、地方税と呼ばれます。
地方税は特定の一つの税金ではなく、地方自治体に納める複数の税金をまとめた呼び方です。
「地方税」という言葉だけでは税目を特定できないため、納税通知書に書かれた税金の名称を確認しましょう。
市民税は地方税に含まれる税金の一つ
個人市民税は市町村民税の一つであり、地方税に含まれます。
関係を簡単に表すと、次のようになります。
- 地方税
- 個人住民税
- 市町村民税(市民税・町民税・村民税など)
- 道府県民税(都民税・府民税・県民税・道民税など)
- 個人住民税
地方税という税金が、市民税とは別に上乗せされるわけではありません。
地方税という大きな分類の中に、市民税が含まれていると考えましょう。
固定資産税や軽自動車税も地方税に含まれる
地方税には、個人住民税以外にもさまざまな種類があります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 軽自動車税
- 自動車税
- 不動産取得税
- 事業税
市区町村が扱う税金と、都道府県が扱う税金があるため、相談先は税目によって異なります。
わからない場合は、納税通知書に記載された自治体名と担当部署、問い合わせ先を確認すると安心です。
元市役所職員が見た、市民税・住民税のよくある勘違い
市民税や住民税は名称が似ているうえ、税額が決まる時期にも特徴があります。
そのため、通知書を見ただけでは仕組みを理解しにくく、不安になる方も少なくありません。
「市民税と住民税を両方払う」は勘違い
給与明細には「住民税」、市役所から届く通知書には「市民税・県民税」と書かれている場合があります。
この表示の違いから、別々の税金を請求されていると思ってしまうケースがあります。
しかし、市町村民税と道府県民税を合わせたものが個人住民税です。
給与明細と通知書で名称が違っていても、すぐに二重払いと判断する必要はありません。
心配なときは、課税年度や毎月の徴収額を見比べてみましょう。
「県民税は県に直接払う」とは限らない
県民税という名称から、県庁や県税事務所へ直接納めると思うかもしれません。
しかし、個人の市町村民税と道府県民税は、原則として市区町村がまとめて徴収します。
窓口でも「県民税の納付書が別に届くのですか」と尋ねる方がいますが、通常は市民税と一緒に納めます。
ただし、自動車税や事業税など、個人住民税以外の都道府県税は取扱いが異なります。
納付書に書かれた税目を確認することが大切です。
退職して収入がなくても住民税が届く場合がある
退職後に住民税の納付書が届き、「今は働いていないのに、なぜ請求されるのだろう」と不安になる方もいます。
給与所得などに対する住民税は、原則として前年の所得を基に翌年度の税額が決まるためです。
現在の収入が減っていても、前年に一定の所得があれば課税される場合があります。
納付が難しいときは、そのままにせず、市区町村の担当窓口へ早めに相談しましょう。
自治体によって相談方法や利用できる制度が異なるため、来庁前に電話で確認しておくと安心です。
通知書で迷わないために確認したいこと
住民税の通知書には、所得や控除、税額など多くの情報が書かれています。
すべてを一度に理解しようとせず、まずは名称、年度、所得、税額を順番に確認しましょう。
「市県民税」「市民税・府民税」など名称が異なることがある
住民税の名称は、住んでいる地域によって異なります。
- 市民税・県民税
- 市民税・府民税
- 特別区民税・都民税
- 町民税・県民税
- 市県民税
表記が違っても、個人住民税を示している場合があります。
引っ越し後に見慣れない名称の通知書が届き、「新しい税金ではないか」と驚くこともあるでしょう。
まずは通知書の発行元と税目を確認してください。
なお、2024年度からは、対象となる方に森林環境税が課税されています。
森林環境税は、個人住民税の均等割の仕組みを使って市町村が徴収する国税で、年額1,000円です。
「市民税・県民税・森林環境税」のように同じ通知書へ記載される場合がありますが、森林環境税そのものは住民税ではありません。
課税年度・前年所得・控除・納付方法を確認する
通知書を受け取ったら、次の項目を確認します。
- 何年度の住民税か
- 計算の基になった前年の所得はいくらか
- 扶養控除や医療費控除などが反映されているか
- 給与からの特別徴収か、普通徴収か
- 納期限はいつか
住民税は原則として前年の所得を基に計算されるため、現在の収入だけを見て判断しないことが大切です。
内容に疑問がある場合は、通知書、源泉徴収票、確定申告書の控えなどを手元に用意すると相談しやすくなります。
所得税は税務署、住民税は市区町村に相談する
所得税と住民税では、基本的な相談先が異なります。
所得税や確定申告については税務署、住民税の税額や納付方法については市区町村の担当窓口へ相談します。
窓口では、「どちらに聞けばよいかわからなかった」と迷われる方も少なくありません。
最初から完璧に判断できなくても大丈夫です。
通知書に記載された連絡先へ問い合わせれば、内容に応じた窓口を案内してもらえる場合があります。
市民税・県民税・住民税の違いに関するよくある質問
市民税と県民税は別々に納付するのですか?
個人の市町村民税と道府県民税は、市区町村がまとめて通知・徴収するのが原則です。
そのため、市民税を市役所に、県民税を県庁に分けて支払う必要は通常ありません。
給与から天引きされている場合も、住民税としてまとめて差し引かれます。
ただし、個人住民税以外の県税は取扱いが異なるため、納税通知書の税目を確認してください。
所得税がかからなくても住民税はかかりますか?
所得税がかからなくても、住民税がかかる場合はあります。
所得税と住民税では、所得控除の金額や税率、非課税となる基準などが同じではないためです。
住民税には、所得に応じて計算される所得割のほか、一定額を負担する均等割もあります。
ただし、所得や家族構成などによっては、所得割や均等割が非課税となる場合があります。
非課税となる基準には自治体の条例が関係する部分もあるため、お住まいの自治体の公式サイトや担当窓口で確認してください。
引っ越したのに以前の自治体から通知が届くのはなぜですか?
個人住民税は、原則としてその年の1月1日現在の住所地で、前年の所得を基に課税されます。
そのため、1月2日以降に引っ越した場合でも、その年度分の通知書は以前住んでいた自治体から届くのが一般的です。
たとえば、1月1日にA市に住んでいて、3月にB市へ引っ越した場合、その年度分の個人住民税は原則としてA市へ納めます。
「もう住んでいない自治体だから払わなくてよい」というわけではありません。
住民登録と実際の住所が異なる場合や、住所地以外に事務所・事業所、家屋敷がある場合などは、別の確認が必要になることがあります。
疑問があるときは、通知書を発行した自治体へ相談すると安心です。
まとめ|市民税は住民税の一部と覚えればわかりやすい
市民税・県民税・住民税・所得税・地方税の違い一覧
| 税金の名称 | 意味 |
|---|---|
| 市民税 | 市町村民税のうち、市に住所がある人などにかかる税金 |
| 県民税 | 道府県民税のうち、県に住所がある人などにかかる税金 |
| 住民税 | 市町村民税と道府県民税を合わせた呼び方 |
| 所得税 | 個人の所得に対して国が課税する国税 |
| 地方税 | 都道府県や市区町村に納める税金の総称 |
| 森林環境税 | 個人住民税の均等割とあわせて市町村が徴収する国税 |
市町村民税と道府県民税を合わせたものが個人住民税であり、市民税は地方税の一つです。
所得税とは、納める相手や税額を計算する時期などが異なります。
通知書に疑問があるときは市区町村へ確認しよう
市民税や住民税の名称が違っていても、すぐに二重払いと判断する必要はありません。
まずは通知書の発行元、課税年度、前年の所得、税額、納付方法を確認しましょう。
税額に心当たりがないときや、納付が難しいときは、通知書を放置せず早めに相談することが大切です。
自治体によって担当課の名称や相談方法が異なるため、公式サイトを確認するか、通知書に記載された連絡先へ問い合わせてみてください。
参考にした公的情報