国民健康保険に加入している人が引っ越すときは、住所変更に伴う国保の手続きも確認する必要があります。
ただ、
- 市外へ引っ越すときは何をする?
- 同じ市内なら国保の手続きはいらない?
- マイナ保険証なら何もしなくていい?
- 資格確認書は返す?
- 引っ越し後の保険料は二重にならない?
など、住民票の転出届・転入届・転居届とは別に考えることが多く、迷いやすいところです。
まず大まかに整理すると、次のように考えるとわかりやすいでしょう。
別の市区町村へ引っ越す
→ 旧住所側と新住所側の両方で国保の届出を確認
同じ市区町村内で引っ越す
→ 国保の住所変更を確認
進学・施設入所などで住所を移す
→ 通常と異なる特例がないか確認
マイナ保険証を使っている人も、引っ越しによる国保の加入・脱退・住所変更がすべて自動で終わるわけではありません。
この記事では、国民健康保険に加入している人が引っ越すときの手続き、必要なもの、期限、マイナ保険証や資格確認書の扱い、引っ越し後の保険料について、元市役所職員の視点も交えながらわかりやすく解説します。
※この記事では、市区町村が行う国民健康保険について説明しています。必要書類やオンライン・郵送手続きの対応状況などは自治体によって異なります。実際に手続きするときは、旧住所・新住所それぞれの自治体公式サイトも確認してください。
国民健康保険は引っ越したら手続きが必要?
国民健康保険に加入している人は、引っ越し先によって手続きが変わります。
最初に確認したいのは、
「市区町村が変わる引っ越しか、同じ市区町村内の引っ越しか」
です。
別の市区町村へ引っ越す場合
市区町村が変わる場合は、旧住所側と新住所側の両方で国民健康保険の手続きを確認します。
一般的には、
旧住所の自治体
→ 転出に伴う国保の届出を確認
新住所の自治体
→ 転入後、引き続き国保に加入するための届出を確認
という流れです。
同じ都道府県内の別の市区町村へ引っ越す場合も、旧住所側・新住所側それぞれに国保の届出が関係します。
法律上は都道府県単位の資格という考え方もあるため少し複雑ですが、手続きをする側としては、
「市区町村が変わったら、旧住所と新住所の国保窓口を確認する」
と覚えておけばよいでしょう。
「同じ県内だから国保は何もしなくてよい」と考えないようにしてください。
転入届そのものに必要な持ち物については、転入届に必要な書類は?持ち物・期限・手続き方法を元市役所職員がわかりやすく解説で詳しくまとめています。
同じ市区町村内で引っ越す場合
同じ市区町村内で住所を変更した場合は、国保をやめて入り直すのではなく、住所変更に関する届出を確認します。
国保の住所変更も原則として14日以内です。
ただし、住民票の転居届と情報が連携し、国保窓口で別途手続きをしなくてもよい自治体もあります。
そのため、
「転居届を出したから国保も必ず全部終わっている」
とも、
「必ず国保窓口にも行かなければならない」
とも全国一律にはいえません。
お住まいの自治体の案内を確認してください。
会社の健康保険に入る場合は別の手続き
引っ越しと同時に就職し、会社の健康保険へ加入する場合などは、住所変更とは別に国保をやめる手続きが必要になります。
一方、退職によって会社の健康保険をやめ、国保へ加入する場合も別の手続きです。
退職後に国保へ加入する場合は、退職後の国民健康保険の加入手続きはいつまで?必要書類・保険料の考え方を解説も参考にしてください。
市外へ引っ越すときの国民健康保険の手続き
別の市区町村へ引っ越す場合は、住民票だけでなく国保についても旧住所側・新住所側の手続きを確認しましょう。
旧住所の自治体で国保の手続きを確認
転出するときは、旧住所の自治体で国保に関する届出が必要になる場合があります。
資格確認書を交付されている人は、市区町村間の住所変更などに伴って返却が必要になることがあります。
一方、自治体によっては住民票の転出届と国保の処理が連携し、国保窓口への別の届出を省略できる場合もあります。
マイナポータルから転出届を出した場合の取扱いも自治体によって違います。
そのため、
「転出届を出せば全国どこでも国保の手続きも自動で終わる」
とは考えないようにしましょう。
新住所の自治体で国保の手続きを確認
新しい住所へ転入した後も会社の健康保険などに加入せず、引き続き国民健康保険に入る場合は、新住所の自治体で国保の手続きを確認します。
国保の加入等の届出は、原則として14日以内です。
必要なものは自治体によって異なりますが、
- 窓口へ行く人の本人確認書類
- マイナンバーを確認できるもの
などを求められることがあります。
住民票の転入届と同じ日に国保の手続きができる自治体もあります。
窓口へ行く前に、転入届と国保の両方に必要なものを確認しておくと二度手間を防ぎやすくなります。
国保以外も含めて、引っ越し後に市役所で何をすればよいか確認したい方は、引っ越し後の役所手続き一覧|市役所で必要なもの・期限・注意点を元市役所職員が解説も参考にしてください。
同じ市区町村内で引っ越す場合は国保の住所変更を確認
同じ市区町村内で引っ越した場合は、国民健康保険について住所変更の届出を確認します。
国保の住所変更は原則として14日以内です。
転居届と一緒に手続きできる?
自治体によっては、住民票の転居届の情報をもとに国保の住所変更を処理することがあります。
一方、資格確認書などの変更のために、国保窓口で別の手続きが必要になる場合もあります。
マイナ保険証を使っている人について、住民票の転居届と連携することで国保窓口での別途手続きを不要としている自治体もあります。
そのため、
「国保に加入しています。同じ市内で引っ越します。転居届のほかに国保で必要な手続きはありますか?」
と自治体へ確認すると安心です。
資格確認書を持っている人
資格確認書を交付されている人は、住所変更に伴って返却や新しい資格確認書への切り替えなどが必要になる場合があります。
取扱いは自治体によって異なるため、窓口へ行くときに資格確認書を持参する必要があるか確認しましょう。
国民健康保険の引っ越し手続きに必要なもの
必要書類は自治体や手続き内容によって異なります。
一般的に確認しておきたいものとしては、次のようなものがあります。
- 窓口へ行く人の本人確認書類
- 世帯主や対象者のマイナンバーを確認できるもの
- 資格確認書(交付されている人)
- 資格情報のお知らせ(自治体が持参を案内している場合)
- 委任状(代理人による手続きで必要な場合)
- 代理人自身の本人確認書類
- 自治体所定の届出書
すべての人に同じ書類が必要というわけではありません。
また、学生の修学特例や施設入所の住所地特例に該当する場合は、在学証明書や在所証明書などを求められることがあります。
窓口へ行く前に、
- 市外へ引っ越すのか、市内転居なのか
- 世帯全員か、一部だけが引っ越すのか
- マイナ保険証を使っているのか、資格確認書を持っているのか
まで伝えて確認すると、必要な持ち物を案内してもらいやすくなります。
マイナ保険証を使っていても引っ越し手続きは必要?
「マイナ保険証なら、引っ越しても国保の手続きは何もしなくてよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、マイナ保険証を使っていても、国保の加入・脱退・住所変更に必要な届出がすべて不要になるわけではありません。
健康保険証の利用登録はやり直さなくてよい
引っ越しや転職などで加入する保険者が変わっても、マイナンバーカードの健康保険証利用登録を最初からやり直す必要はありません。
一方で、新しい保険者への異動届など、国保の資格に関する手続きは必要です。
つまり、
マイナンバーカードの健康保険証利用登録
と
国民健康保険の加入・脱退・住所変更
は別の手続きとして考えましょう。
また、引っ越しではマイナンバーカード本体の住所変更も必要になる場合があります。カードの住所変更について詳しく知りたい方は、マイナンバーカードの住所変更を忘れたらどうなる?転入後の期限・必要書類を元市役所職員が解説も参考にしてください。
引っ越し直後は新しい資格情報の確認に時間がかかる場合がある
国保の手続きをしても、新しい資格情報がオンライン資格確認のシステムへ反映されるまでには一定の時間がかかります。
そのため、
「今日国保へ加入したから、その場ですぐマイナ保険証から新しい資格が確認できる」
とは限りません。
引っ越し直後に病院を受診する予定がある場合は、新住所の国保窓口へ、
「加入手続き後すぐに受診する場合、どのように資格を確認すればよいですか?」
と確認しておくと安心です。
2026年は従来の健康保険証ではなくマイナ保険証・資格確認書を確認
古い引っ越し情報では、
「国民健康保険証を返却する」
と書かれていることがあります。
しかし、2026年9月時点では、従来の健康保険証の有効期限はすでに終了しています。
現在、医療機関などで資格確認する際は、原則として、
- マイナ保険証
- 資格確認書
を使います。
そのため、古い記事の「国民健康保険証」という表現だけを見て準備しないよう注意しましょう。
資格確認書とは
資格確認書は、マイナ保険証を持っていない人などに交付される書類です。
資格確認書だけで医療機関などの資格確認に利用できます。
引っ越しによって国保資格や住所が変わった場合は、返却や新しい資格確認書への切り替えが必要になることがあるため、自治体の案内を確認してください。
資格情報のお知らせとは
資格情報のお知らせは、マイナ保険証を持っている人に、自分の加入資格などを確認できるよう交付される書類です。
資格確認書とは役割が違います。
資格情報のお知らせだけを持って医療機関で保険診療を受けることはできません。
マイナ保険証で資格確認がうまくできない場合などに、マイナンバーカードとセットで提示して使います。
引っ越し時に持参・返却が必要かどうかは自治体によって案内が異なるため、確認してください。
引っ越し後の国民健康保険料はどうなる?
市外へ引っ越すと、
「旧住所と新住所の両方から国保料が請求されるのでは?」
と心配になる方もいるでしょう。
国保料・国保税は、年度途中で加入・脱退した場合、原則として加入していた期間に応じて月割りで計算されます。
旧住所と新住所で算定する月は原則重ならない
一般的には、
旧住所の自治体
→ 転出した月の前月分まで
新住所の自治体
→ 転入した月分から
という考え方で計算されます。
たとえば8月15日に別の市区町村へ引っ越した場合は、
旧自治体
→ 7月分まで
新自治体
→ 8月分から
というイメージです。
実際の保険料・保険税の計算や通知時期は自治体によって異なるため、届いた通知書で確認してください。
両方から納付書が届いても二重請求とは限らない
ここは勘違いしやすいところです。
国保料・国保税は、「その月の保険料をその月に1回ずつ支払う」という仕組みとは限りません。
年度分を複数回の納期に分けて支払うため、引っ越し後に旧自治体から納付書が届き、新自治体からも納付書が届くことがあります。
そのため、
「2つの自治体から納付書が来たから、片方は二重請求だろう」
と自己判断して捨てないでください。
旧自治体では転出に伴って保険料を再計算し、
- 追加で納める
- 払いすぎた分が還付される
- 転出後もしばらく納付が残る
といった場合があります。
分からない場合は、納付書を捨てずに自治体へ確認しましょう。
引っ越し先で国保料が変わることもある
国民健康保険料・国民健康保険税の料率や税率などは自治体によって異なります。
そのため、所得や世帯構成が同じでも、引っ越し先によって金額が変わることがあります。
また、市外から転入した直後は前年所得の情報が新住所の自治体にまだ届いておらず、いったん保険料を計算した後、所得情報が確認できた段階で再計算される場合もあります。
国保料が高いと感じた場合は、国民健康保険料が高いのはなぜ?退職後に確認したい軽減制度と払えない時の相談先も参考にしてください。
国保の引っ越し手続きを14日過ぎたらどうなる?
国民健康保険の加入・脱退・住所変更などの届出は、原則として14日以内です。
ただし、14日を過ぎたからといって「もう手続きできない」ということではありません。
気づいた時点で、できるだけ早く自治体へ相談してください。
加入が遅れると保険料がさかのぼることがある
国保への加入届が遅れても、本来国保に加入すべきだった日までさかのぼって保険料・保険税が計算される場合があります。
「届出をした日から国保料が始まる」とは限りません。
また、自治体の案内では、やむを得ない理由なく加入届が遅れた場合、医療費の給付の取扱いに影響する場合があるとされています。
期限を過ぎている場合も放置せず、早めに自治体へ相談しましょう。
資格がなくなった後に旧自治体の国保扱いで受診しない
旧住所の国保資格がなくなった後に、旧自治体の国保扱いで医療機関を受診すると、旧自治体が負担した医療費の返還を求められる場合があります。
国保が切り替わったときは、医療機関にも、
「引っ越しで加入している国民健康保険が変わりました」
と伝えてください。
代理人でも国民健康保険の手続きはできる?
本人が窓口へ行けない場合、家族や代理人に手続きを頼みたいこともあるでしょう。
代理人による手続きの条件や委任状の要否は自治体によって異なります。
同一世帯の人
自治体によっては、世帯主や同一世帯の世帯員が手続きできる場合があります。
一方で、世帯主以外が届け出る場合に委任状を求める自治体もあります。
そのため、「同じ世帯なら全国どこでも委任状不要」とは考えないようにしましょう。
別世帯の代理人
別世帯の家族や代理人の場合は、
- 委任状
- 代理人の本人確認書類
などを求められることがあります。
本人以外が手続きする場合は、窓口へ行く前に自治体へ委任状の要否を確認してください。
オンライン・郵送でできるかは自治体によって異なる
国保の引っ越し手続きについて、オンラインや郵送に対応している自治体もあります。
ただし、全国一律ではありません。
また、
- 転入時の国保加入
- 市外転出時の国保手続き
- 市内転居
- 会社の健康保険へ加入したことによる国保脱退
など、手続きによってオンライン対応の範囲が違う場合もあります。
**「国保の引っ越し手続きはオンラインでできる」「必ず窓口へ行かなければならない」**と一律に考えず、自治体公式サイトで確認しましょう。
学生・施設入所などは通常の引っ越しと違うことがある
一般的な引っ越しとは別に、国民健康保険には住所に関する特例があります。
進学のため親元を離れる学生
大学などへの進学のため住民票を別の市区町村へ移す場合、一定の条件を満たすと、元の自治体の国保に引き続き加入できる「修学中の被保険者の特例」があります。
通常の市外転出と同じ扱いになるとは限りません。
在学証明書などが必要になる場合もあるため、進学で住所を移す人は転出前に現在加入している国保の窓口へ相談しましょう。
施設へ入所するため住所を移す場合
一定の病院や施設などへの入院・入所・入居によって住所を移した場合も、住所地に関する特例が適用されることがあります。
この場合も、通常の引っ越しとは国保の取扱いが異なる可能性があります。
施設入所によって住民票を移す場合は、現在加入している国保の窓口へ事前に確認してください。
世帯の一部だけが引っ越す場合も確認しよう
世帯全員ではなく、国保加入者の一部だけが別の市区町村へ引っ越す場合もあります。
たとえば、
- 子どもだけ転出する
- 世帯主だけ旧住所に残る
- 世帯主が転出して別の人が世帯主になる
といったケースです。
国保では世帯主が届出や保険料通知に関係するため、世帯の一部だけが移動すると、届出内容や保険料の計算が変わる場合があります。
自治体へ問い合わせるときは、
「世帯全員が引っ越すのか、一部だけなのか」
まで伝えておきましょう。
国民健康保険の引っ越し手続きについてよくある質問
転入届を出せば国保にも自動で加入できますか?
全国一律で「転入届を出せば国保加入もすべて自動」とはいえません。
住民異動と国保の手続きが連携している自治体もありますが、国保窓口での届出や確認が必要な場合があります。
転入届をするときに、
「引き続き国民健康保険に加入します」
と伝えて必要な手続きも確認するとよいでしょう。
マイナ保険証なら引っ越し手続きは不要ですか?
不要ではありません。
マイナンバーカードの健康保険証利用登録をやり直す必要はありませんが、国保の加入・脱退・住所変更に必要な届出は確認してください。
資格確認書は返却しますか?
市外転出などで旧自治体の国保に関する資格が変わる場合、資格確認書を交付されている人は返却が必要になることがあります。
返却方法や新しい資格確認書の取扱いは自治体へ確認しましょう。
資格情報のお知らせだけで病院を受診できますか?
資格情報のお知らせだけでは、原則として保険診療の資格確認には使えません。
マイナ保険証で資格確認できない場合などに、マイナンバーカードとセットで提示します。
14日を過ぎても手続きできますか?
14日を過ぎていても、手続きが不要になるわけではありません。
気づいた時点で早めに自治体へ相談してください。
加入が遅れた場合は、本来加入すべき時点までさかのぼって保険料・保険税が計算されることがあります。
引っ越し直後に病院へ行く場合はどうすればいいですか?
国保の切り替え直後は、新しい資格情報がオンライン資格確認システムへ反映されるまで時間がかかる場合があります。
手続き後すぐに受診予定がある場合は、新住所の国保窓口へ資格確認方法を確認してください。
医療機関にも、引っ越しで加入する国保が変わったことを伝えておくと安心です。
まとめ|市外か市内かを確認して国民健康保険の手続きをしよう
国民健康保険に加入している人が引っ越すときは、まず市区町村が変わるかどうかを確認しましょう。
別の市区町村へ引っ越す場合は、旧住所側と新住所側の両方で国保の手続きを確認します。
同じ市区町村内で引っ越す場合は、国保の住所変更に関する届出が必要です。ただし、住民票の転居届と連携して国保窓口での別途手続きが不要になる自治体もあります。
また、マイナ保険証を利用していても、国保の異動届がすべて不要になるわけではありません。
引っ越し時は、
- 市外か市内か
- 世帯全員か一部だけか
- マイナ保険証を使っているか、資格確認書を持っているか
- 代理人が手続きするか
- 学生・施設入所などの特例に当てはまらないか
まで確認しておくと安心です。
手続きの期限は原則14日以内です。
分からない場合は、
「国保に加入しています。○○市から△△市へ引っ越します。世帯全員が転出します。マイナ保険証を利用しています。旧住所と新住所で必要な国保手続きと持ち物を教えてください」
というように、自分の状況を具体的に伝えて自治体へ確認すると、必要な手続きを案内してもらいやすくなります。
国保以外も含めて引っ越し後の手続きを確認したい方は、引っ越し後の役所手続き一覧|市役所で必要なもの・期限・注意点を元市役所職員が解説もあわせて確認してください。