「除籍謄本を用意してください」と言われて、戸籍謄本とは何が違うのか迷っていませんか。
相続や死亡後の手続きでは、ふだん聞き慣れない戸籍の書類が出てくるため、不安になる方は少なくありません。
窓口でも、除籍謄本・戸籍謄本・改製原戸籍の違いで迷う方は多い印象です。
この記事では、除籍謄本とはどのような書類なのか、どんな場面で必要になるのかを、元市役所職員の視点も交えながら、できるだけやさしく解説します。
除籍謄本とは?まず意味をわかりやすく解説
除籍謄本とは、簡単にいうと「その戸籍に入っていた人が全員いなくなった戸籍の内容を証明する書類」です。
戸籍に入っていた人が、死亡、婚姻、転籍などによって全員除かれると、その戸籍は現在使われている戸籍ではなくなります。
その状態になった戸籍を証明するものが、除籍謄本です。
相続や死亡後の手続きでは、亡くなった方の家族関係や戸籍の流れを確認するために必要になることがあります。
ただし、「亡くなった人の戸籍なら必ず除籍謄本」と決まっているわけではありません。
手続き先が何を確認したいのかによって、必要な書類は変わります。
除籍謄本は「戸籍にいた人が全員除かれた戸籍」の証明
除籍謄本は、その戸籍に入っていた人が全員いなくなった戸籍の内容を証明する書類です。
たとえば、戸籍に入っていた人が死亡したり、結婚して別の戸籍に移ったり、本籍を移したりすると、その戸籍から除かれることがあります。
そして、戸籍に残っている人が誰もいなくなると、その戸籍は「除籍」となります。
窓口でも、「亡くなった人の名前が載っていれば除籍謄本ですか?」と迷う方がいます。
気持ちはとても自然ですが、ポイントは「亡くなったかどうか」だけではありません。
その戸籍全体が、現在も使われている戸籍なのか、すでに誰も残っていない戸籍なのかで扱いが変わります。
戸籍謄本との違いは「現在使われている戸籍かどうか」
戸籍謄本と除籍謄本の違いは、ざっくりいうと「現在使われている戸籍かどうか」です。
戸籍謄本は、現在使われている戸籍の内容を証明する書類です。
一方、除籍謄本は、その戸籍に入っていた人が全員除かれ、現在は使われていない戸籍の内容を証明する書類です。
相続手続きでは、亡くなった方の戸籍をたどる中で、戸籍謄本だけでなく除籍謄本が必要になる場合があります。
職員側から見ても、この違いは説明が難しく、初めて手続きする方には誤解されやすい部分です。
「今の戸籍なのか、過去の戸籍なのか」と考えると、少し整理しやすくなります。
「死亡した人の戸籍=必ず除籍謄本」とは限らない
死亡した方の戸籍を取るときに、「亡くなった人だから除籍謄本が必要」と思う方もいます。
しかし、死亡の記載がある戸籍が、必ず除籍謄本になるとは限りません。
たとえば、同じ戸籍に配偶者などが残っている場合、その戸籍は現在も使われている戸籍として扱われることがあります。
その場合は、除籍謄本ではなく戸籍謄本として発行されることがあります。
実際の手続きでは、提出先が「死亡の記載がある戸籍を確認したい」のか、「過去の戸籍も含めて相続関係を確認したい」のかで必要書類が変わります。
迷った場合は、提出先に「どの範囲の戸籍が必要ですか」と確認しておくと安心です。
除籍謄本が必要になる場面
除籍謄本は、主に相続や死亡後の手続きで必要になることが多い書類です。
亡くなった方と相続人の関係を確認したり、過去の戸籍の流れをたどったりするために使われます。
ただし、すべての手続きで必ず除籍謄本が必要になるわけではありません。
提出先によって、戸籍謄本で足りる場合もあれば、除籍謄本や改製原戸籍まで求められる場合もあります。
自己判断で集め始めると、後から追加で必要になることもあります。
先に提出先へ確認しておくと安心です。
相続人を確認するときに必要になることが多い
除籍謄本は、相続人を確認するときに必要になることが多い書類です。
相続では、亡くなった方と相続人がどのような関係にあるのかを、戸籍で確認します。
たとえば、配偶者や子ども、親、きょうだいなど、誰が相続人になる可能性があるのかを調べるためです。
窓口でも、相続の手続きで「どの戸籍を集めればいいかわからない」と不安そうに相談される方は少なくありません。
特に、亡くなった方の本籍が何度か変わっている場合は、1つの戸籍だけでは足りないことがあります。
提出先に必要な範囲を確認してから集めると、二度手間を減らせます。
預貯金の解約や不動産の相続登記で求められる場合がある
亡くなった方の銀行口座を解約するときや、不動産の名義変更をするときにも、除籍謄本が必要になる場合があります。
金融機関や法務局では、相続人を確認するために戸籍関係の書類を求めることがあります。
相続登記では、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などが必要になる場合があります。
亡くなった方の死亡の事実や、相続人との関係を確認するためです。
ただし、必要書類は手続き先や相続の内容によって異なります。
金融機関ごとに案内が違うこともありますし、不動産の相続登記では必要な戸籍の範囲が広くなることもあります。
「とりあえず除籍謄本だけ取れば大丈夫」と考えず、提出先の案内を確認しましょう。
年金・保険金・死亡後の各種手続きで使うこともある
除籍謄本は、年金や保険金の請求、その他の死亡後手続きで求められることもあります。
たとえば、亡くなった方との関係や死亡の記載を確認するために、戸籍関係の証明書が必要になる場合があります。
ただし、年金手続きでは、住民票の除票、戸籍抄本、死亡診断書のコピーなど、死亡の事実を確認できる別の書類で足りる場合もあります。
手続きによっては戸籍謄本で足りることもあります。
反対に、過去の戸籍まで必要になる場合もあります。
家族が亡くなった後は、年金、保険、銀行、相続など、複数の手続きが重なりがちです。
気持ちに余裕がない中で、何度も役所へ行くのは大変ですよね。
必要な書類名だけでなく、「誰の」「どの時点からどの時点まで」の戸籍が必要なのかを確認しておくと、手続きが進めやすくなります。
除籍謄本と一緒に出てきやすい戸籍書類
除籍謄本を調べていると、戸籍謄本や改製原戸籍という言葉も出てきます。
どれも戸籍に関する書類なので、初めて見ると混乱しやすいです。
ここでは、細かな制度の説明に入りすぎず、相続や死亡後手続きで迷わないための基本だけ押さえておきましょう。
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の違い
戸籍謄本は、現在使われている戸籍の内容を証明する書類です。
除籍謄本は、戸籍にいた人が全員除かれ、現在は使われていない戸籍の内容を証明する書類です。
改製原戸籍は、戸籍の様式変更などにより作り替えられる前の古い戸籍を指します。
相続手続きでは、この3つの名前が一緒に出てくることがあります。
職員側から見ても、名前だけでは違いが伝わりにくい部分です。
「現在の戸籍」「使われなくなった戸籍」「作り替え前の戸籍」と考えると、少しイメージしやすくなります。
相続では出生から死亡までの戸籍が必要になる場合がある
相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必要になる場合があります。
これは、相続人を確認するためです。
途中で結婚、転籍、戸籍の改製などがあると、複数の戸籍をたどる必要が出てくることがあります。
そのため、戸籍謄本だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍が必要になることもあります。
「1通取れば終わると思っていたのに、追加で必要と言われた」という戸惑いは、相続手続きでは珍しくありません。
最初に提出先へ必要な範囲を聞いておくと、集める書類の見通しが立てやすくなります。
提出先によって必要な戸籍の範囲は異なる
必要な戸籍の範囲は、提出先によって異なる場合があります。
金融機関、法務局、年金事務所、保険会社など、それぞれ確認したい内容が違うためです。
ある手続きでは死亡の記載がある戸籍だけで足りても、別の手続きでは出生から死亡までの戸籍を求められることがあります。
また、原本の提出が必要なのか、コピーでよいのか、原本を返してもらえるのかも確認しておきたい点です。
不安なときは、提出先に「どの範囲の戸籍が必要ですか」「原本は返却されますか」と聞いてみましょう。
先に確認しておくことで、余分な通数を取らずに済む場合もあります。
除籍謄本はどこで取れる?取得方法と必要なもの
除籍謄本は、基本的には本籍地の市区町村で請求します。
ただし、本籍地が遠い場合は、郵送請求や広域交付を利用できる場合もあります。
家族が亡くなった後の手続きでは、平日に何度も役所へ行くのが難しい方も多いです。
だからこそ、先に取得方法を確認しておくと気持ちが少し楽になります。
ただし、自治体や請求方法によって必要なものが異なる場合があります。
出かける前に、自治体の公式サイトや窓口で確認しておきましょう。
本籍地の市区町村窓口で請求する方法
除籍謄本を取る基本の方法は、本籍地の市区町村窓口で請求することです。
請求書には、亡くなった方の本籍、筆頭者、必要な人の氏名などを記入することが多いです。
本人確認書類や手数料も必要になります。
相続などで請求する場合は、請求する人と亡くなった方との関係が確認できる書類を求められることもあります。
窓口では、本籍や筆頭者がわからず手が止まる方が少なくありません。
不安なときは、来庁前に「何を持って行けばよいですか」と電話で確認しておくと安心です。
郵送請求を利用する場合の一般的な流れ
本籍地が遠い場合は、郵送で除籍謄本を請求できる場合があります。
一般的には、請求書、本人確認書類のコピー、手数料、返信用封筒などを送ります。
手数料は定額小為替を使う自治体もありますが、支払い方法は自治体によって異なることがあります。
郵送請求は便利ですが、書類に不足があると返送や追加連絡が必要になり、時間がかかります。
特に、誰の除籍謄本が必要なのか、何通必要なのかは間違えやすい部分です。
急ぎの手続きでは、郵送にかかる日数も考えて、早めに準備しましょう。
広域交付で本籍地以外の窓口でも取れる場合がある
2024年3月1日から、戸籍証明書等の広域交付が始まりました。
これにより、一定の戸籍証明書や除籍証明書については、本籍地以外の市区町村窓口でも請求できるようになっています。
本籍地が遠い方にとっては、とても助かる制度です。
ただし、すべての戸籍関係書類が対象になるわけではありません。
また、請求できる人の範囲や本人確認の方法にも条件があります。
広域交付は、郵送や代理人による請求はできません。
窓口に行く本人などが、運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付き本人確認書類を提示する必要があります。
「近くの役所で取れるはず」と思って行く前に、必要な除籍謄本が広域交付の対象か確認しておくと安心です。
元市役所職員が見た、除籍謄本でよくある勘違い
除籍謄本は、名前だけでは内容がわかりにくい書類です。
そのため、窓口でも本籍、筆頭者、必要な範囲などで迷う方が多い印象です。
ここでは、二度手間になりやすい勘違いを整理します。
知っておくだけで、手続き前の不安をかなり減らせます。
住所地の役所で必ず取れると思ってしまう
除籍謄本は、原則として本籍地の市区町村が管理しています。
そのため、今住んでいる住所地の役所に行けば必ず取れる、というわけではありません。
現在は広域交付で本籍地以外の窓口でも取れる場合がありますが、対象書類や請求できる人には条件があります。
窓口でも、「住所地と本籍地は同じだと思っていた」と戸惑う方がいます。
引っ越しをしても本籍は自動では変わらないため、今の住所と本籍が違うことは珍しくありません。
まずは、本籍地がどこかを確認しておきましょう。
1通だけ取ればすべての相続手続きに足りると思ってしまう
相続手続きでは、除籍謄本を1通取ればすべて終わるとは限りません。
提出先によって、必要な戸籍の範囲や通数が違う場合があります。
金融機関、不動産の相続登記、年金、保険などで、それぞれ書類を求められることもあります。
また、原本を返してもらえるかどうかによって、必要な通数も変わります。
「せっかく取ったのに足りなかった」となると、気持ちの負担も大きいですよね。
先に提出先へ、必要な範囲と通数、原本返却の有無を確認しておくのがおすすめです。
本籍・筆頭者がわからず窓口で手続きが止まりやすい
除籍謄本を請求するときは、本籍や筆頭者を記入することがあります。
ここがわからないと、窓口で手続きが止まりやすくなります。
特に、亡くなった親や祖父母の戸籍を請求する場合、本籍を正確に知らないこともあります。
筆頭者も、世帯主とは違う考え方なので混同しやすい部分です。
職員側から見ても、本籍と住所、筆頭者と世帯主の違いは説明が難しく、誤解されやすいところです。
わからない場合は、住民票に本籍を表示して確認できる場合もあるため、自治体に相談してみましょう。
二度手間を防ぐために確認しておきたいこと
除籍謄本を取る前に、いくつか確認しておくと手続きがスムーズになります。
特に大切なのは、「誰の」「どの範囲の」「何通の」戸籍が必要なのかです。
ここをあいまいにしたまま請求すると、追加で取り直しになることがあります。
家族が亡くなった後は、気持ちも時間も余裕がないものです。
少し面倒に感じても、最初に確認しておくことが結果的に負担を減らします。
誰の除籍謄本が必要かを提出先に確認する
まず確認したいのは、誰の除籍謄本が必要なのかです。
亡くなった方本人の除籍謄本だけでよいのか、相続人との関係がわかる戸籍も必要なのかで、集める書類が変わります。
相続では、出生から死亡までの戸籍を求められる場合もあります。
この場合、除籍謄本だけでなく、戸籍謄本や改製原戸籍が必要になることもあります。
提出先に聞くときは、「誰の戸籍が、どの期間分必要ですか」と確認すると伝わりやすいです。
自分で判断しにくいときは、無理に決めず、早めに相談しましょう。
必要な通数・原本返却の可否を確認する
除籍謄本を請求する前に、必要な通数も確認しておきましょう。
複数の手続き先に提出する場合、同じ書類を何通か用意したほうがよい場合があります。
一方で、提出先によっては原本を確認したあと返却してくれることもあります。
原本を返してもらえるなら、余分に取らなくて済む場合もあります。
ただし、原本返却の扱いは提出先によって異なります。
金融機関や保険会社などに提出する前に、「原本は返却されますか」と確認しておくと安心です。
代理人請求や委任状が必要かを自治体に確認する
本人や一定の親族以外が除籍謄本を請求する場合、委任状が必要になることがあります。
また、請求できる人の範囲や必要書類は、戸籍の内容や請求理由によって変わる場合があります。
代理で請求する場合は、本人確認書類だけでなく、委任状や関係がわかる書類が必要になることもあります。
ただし、広域交付では代理人請求ができない点にも注意が必要です。
「家族だから取れるはず」と思って行くと、書類不足で出直しになることがあります。
代理で手続きする場合は、事前に本籍地の自治体へ確認しておきましょう。
まとめ|除籍謄本とは相続や死亡後手続きで必要になる大切な書類
除籍謄本とは、戸籍に入っていた人が全員除かれ、現在は使われていない戸籍の内容を証明する書類です。
相続や死亡後の手続きでは、亡くなった方の死亡の記載や、相続人との関係を確認するために必要になることがあります。
ただし、手続きによっては戸籍謄本で足りる場合もあります。
反対に、除籍謄本だけでは足りず、改製原戸籍なども必要になることがあります。
大切なのは、提出先が何を確認したいのかを先に確認することです。
「除籍謄本を取れば全部解決」と決めつけず、必要な範囲を整理してから請求しましょう。
除籍謄本は戸籍の状態を証明する書類
除籍謄本は、「亡くなった人の書類」というよりも、「その戸籍に誰も残っていない状態になった戸籍の証明書」と考えるとわかりやすいです。
死亡、婚姻、転籍などによって、戸籍にいた人が全員除かれると、その戸籍は除籍になります。
その内容を証明するのが除籍謄本です。
そのため、死亡の記載があるからといって、必ず除籍謄本になるとは限りません。
同じ戸籍に配偶者などが残っていれば、現在の戸籍謄本として発行される場合もあります。
この違いは少し難しいため、迷ったときは自治体窓口で確認して大丈夫です。
迷ったら提出先と自治体窓口に確認すると安心
除籍謄本が必要と言われたら、まず提出先に確認したいことがあります。
- 誰の戸籍が必要なのか
- どの期間の戸籍が必要なのか
- 除籍謄本だけでよいのか
- 原本は返却されるのか
この4つを聞いておくと、集める書類の見通しが立てやすくなります。
そのうえで、本籍地の自治体や取得予定の窓口に、請求方法や必要書類を確認しましょう。
本籍、筆頭者、本人確認書類、手数料、代理人請求の可否、広域交付の対象になるかどうかは、事前に確認しておきたいポイントです。
相続や死亡後の手続きは、気持ちの負担も大きいものです。
わからないことがあっても、焦らなくて大丈夫です。
ひとつずつ確認しながら進めれば、二度手間を減らし、落ち着いて手続きできます。