市役所から市民税・県民税申告書が届き、「専業主婦で収入がないのに、何を書けばよいの?」と困っていませんか。
収入がなければ申告は不要と思いがちですが、扶養の状況や所得・非課税証明書の必要性によっては、申告を求められる場合があります。
一方、一定の条件を満たしていれば、申告しなくてもよい自治体もあります。
無収入の人に申告が必要かどうか、申告書のどこに「0円」や生活状況を書くかは、自治体の様式によって異なります。
この記事では、収入なし・専業主婦の場合に申告が必要か判断するポイントや、市民税・県民税申告書の基本的な書き方を、元市役所職員の視点からわかりやすく解説します。
収入なし・専業主婦でも市民税・県民税申告書が必要な場合がある
専業主婦だから必ず申告不要とは限らない
前年中に給与や事業などの所得がなかった場合でも、市民税・県民税申告書の提出を求められることがあります。
無収入であることを申告しておくと、所得・非課税証明書の発行や、国民健康保険料、介護保険料、保育料などの判定資料として利用される場合があるためです。
ただし、無収入者は申告義務がないとしたうえで、必要な人に提出を勧めている自治体もあります。
「専業主婦だから申告不要」と一律に判断せず、お住まいの自治体が定める申告不要条件を確認しましょう。
窓口でも、申告書が届いたものの、提出するのか処分してよいのかわからず、不安そうに相談する方は少なくありません。
まずは、同封された案内や自治体公式サイトの「申告が必要な人・不要な人」を確認してください。
配偶者の扶養情報を自治体が把握しているか確認する
収入がなく、配偶者の年末調整や確定申告などで、本人が同一生計配偶者等として正しく申告されている場合は、市民税・県民税申告が不要になることがあります。
ただし、税務情報に記載漏れがある場合や、配偶者が別の自治体に住んでいる場合は、本人の所得状況を確認できず、申告を求められる可能性があります。
ここで注意したいのが、健康保険の扶養と税法上の配偶者の扱いは別だという点です。
健康保険証や資格確認書上では扶養家族になっていても、それだけで自治体が税務上の所得状況を把握しているとは限りません。
職員側から見ても、この違いは説明が難しく、誤解されやすい部分です。
迷ったときは、市民税担当課へ「配偶者の申告上、私の所得状況は確認できていますか」と尋ねるとよいでしょう。
非課税証明書が必要なら申告を求められることがある
配偶者の申告情報から扶養されていることを確認できる場合でも、本人の所得金額が0円と記載された所得・課税証明書や非課税証明書を取得するために、申告が必要になる場合があります。
申告をしていないと、証明書の所得欄が空欄や記号表示になったり、証明書をすぐに発行できなかったりする自治体があるためです。
証明書は、保育所、公営住宅、奨学金、健康保険、勤務先などの手続きで求められることがあります。
近いうちに所得・非課税証明書を使う予定がある方は、申告が必要か先に確認しておくと安心です。
詳しくは「市民税と住民税の違い」で解説しています。
市民税・県民税申告書が必要な人と不要な人
同じ自治体の配偶者に扶養されている場合
前年中に収入がなく、同じ自治体に住む配偶者の申告上、同一生計配偶者等として自治体が把握している場合は、申告不要とされることがあります。
ただし、申告をしなければ所得金額が0円と表示された証明書を取得できないなど、手続き上の制限が生じる場合があります。
また、「配偶者の扶養に入っている」というだけでは、税法上の申告状況まで正しく登録されているか判断できません。
申告不要の条件と、証明書取得時の扱いを自治体公式サイトで確認しましょう。
市外の配偶者に扶養されている場合
単身赴任などで配偶者と別の自治体に住民登録をしている場合は、本人が住む自治体で扶養情報を確認できないことがあります。
この場合、本人の収入がなかったことや、誰の収入で生活していたかを申告するよう案内される可能性があります。
窓口では、「配偶者の会社で扶養手続きをしたので、市役所にも伝わっていると思っていた」と戸惑う方もいます。
税の申告、健康保険の扶養認定、住民登録はそれぞれ別の手続きです。
配偶者と住所地が異なるときは、申告の要否と、配偶者の氏名・住所などの記入が必要かを担当課へ確認してください。
申告書が届いた場合は提出要否を担当課へ確認する
市民税・県民税申告書が郵送されてきたからといって、必ず提出義務があるとは限りません。
反対に、収入がないからといって、案内を確認せず処分するのも避けたほうがよいでしょう。
申告書が送られる対象や基準は自治体によって異なります。
同封文書に「申告不要となる人」や問い合わせ先が記載されていることが多いため、まずは内容を確認してください。
なお、所得税の確定申告を税務署へ提出した場合は、その内容が自治体へ送られるため、一般には市民税・県民税申告書を別に提出する必要はありません。
ただし、自治体独自の申告が必要となる例外もあるため、案内が届いた場合は確認しておくと安心です。
収入がない場合の市民税・県民税申告書の書き方
申告年度・住所・氏名などの基本情報を記入する
収入がない場合でも、氏名などの基本情報は省略せずに記入します。
一般的には、次のような項目があります。
- 申告する年度
- 1月1日時点の住所
- 現在の住所
- 氏名・フリガナ・生年月日
- 電話番号
- 個人番号
- 世帯主の氏名と続柄
特に間違えやすいのが、申告年度と収入の対象年です。
たとえば、令和8年度の申告書には、原則として令和7年1月1日から12月31日までの収入や生活状況を記入します。
申告書に書かれた年度の前年が、収入を確認する対象期間です。
「収入なし」「所得なし」の該当欄を確認する
収入なしの場合の記入方法は、自治体の申告書によって異なります。
「前年中に所得がなかった方」「非課税所得のみの方」「前年中の生活状況」といった専用欄へチェックする様式があります。
一方、所得金額の合計欄に「0」と記入するよう案内している自治体もあります。
すべての収入欄を自己判断で0円にしたり、反対にすべて空欄にしたりせず、自治体の記入例に従いましょう。
窓口では、基本情報だけを書いて提出し、収入がなかったのか記入を忘れたのか判断できず、確認が必要になることがあります。
表面だけでなく、裏面や別紙の記入欄も確認してください。
前年中の生活状況と生活費を負担した人を書く
申告書によっては、収入がなかった人に、前年中の生活状況を記入するよう求めています。
専業主婦の場合は、「配偶者の収入で生活していた」「配偶者に扶養されていた」など、実際の状況に合う項目を選びます。
生活費を負担した人の氏名、住所、続柄などを記入する様式もあります。
親族からの援助や預貯金の取り崩しで生活していた場合は、それに該当する欄を確認してください。
記入する項目や表現は自治体ごとに異なるため、手元の申告書と公式の記入例を照らし合わせることが大切です。
専業主婦が迷いやすい扶養欄・配偶者欄の書き方
配偶者の氏名や続柄を記入する欄を確認する
本人が配偶者の収入で生活していた場合、配偶者の情報をどこへ書くかは申告書の様式によって異なります。
「前年中に所得がなかった人の生活状況」「生活費を負担した人」などの欄へ、配偶者の氏名・住所・続柄を記入する場合があります。
申告書表面の配偶者控除欄が、必ず本人の生活費を負担した配偶者を書く欄とは限りません。
欄の目的を確認せずに記入すると、別の申告内容として扱われる可能性があります。
どこへ書くかわからない場合は、申告書を手元に置いて担当課へ電話すると確認しやすくなります。
配偶者控除と自分の住民税申告は別に考える
配偶者が勤務先の年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を申告していても、本人の市民税・県民税申告が必ず不要になるとは限りません。
配偶者控除は、主に配偶者側の税金を計算するための制度です。
本人の住民税申告は、本人の前年所得や生活状況を住所地の自治体へ伝える手続きです。
窓口では、「夫の年末調整に自分の名前を書いたので、自分の申告も済んでいると思った」という行き違いが起こりやすい印象があります。
配偶者側の年末調整だけで判断せず、本人の申告が不要となる条件を確認してください。
少額でもパート収入があれば「収入なし」にしない
前年中に短期間でもパートやアルバイトの給与を受け取っていれば、収入なしには当たりません。
数日だけ働いた場合や、年の途中で退職した場合も、受け取った給与は前年の給与収入です。
勤務先から自治体へ給与支払報告書が提出されていれば、別途申告が不要となることもあります。
ただし、勤務先が提出しているか不明な場合や、複数の勤務先がある場合は確認が必要です。
源泉徴収票がないときは勤務先へ再発行を依頼するか、給与明細などで対応できるか自治体へ相談しましょう。
該当する場合は「源泉徴収票がない場合の市民税申告」も確認してください。
収入なしでも内容が異なるケース別の記入ポイント
配偶者の収入だけで生活していた場合
本人に給与・年金・副業などの課税対象となる収入がなく、配偶者の収入で生活していた場合は、「収入なし」「配偶者に扶養されていた」などの欄を確認します。
様式によっては、所得合計欄への0円の記入と、生活状況欄への配偶者情報の両方が必要です。
配偶者と住所が異なる場合は、氏名だけでなく住所などの追加情報を求められることがあります。
遺族年金・障害年金・雇用保険だけだった場合
国民年金・厚生年金制度による遺族年金や障害年金、雇用保険の基本手当は、原則として所得税や住民税の課税対象になりません。
そのため、通常の給与収入欄や、課税対象となる公的年金等の収入欄には含めません。
ただし、自治体によっては「非課税所得のみ」「前年中の生活状況」といった欄へ、給付の種類や金額を記入するよう案内しています。
非課税だから何も書かないのではなく、専用欄がないか確認しましょう。
なお、民間保険の年金や、亡くなった人の未支給年金などは扱いが異なる場合があります。
判断できない収入があるときは、給付名がわかる通知書を用意して担当課へ確認してください。
家族からの援助や預貯金で生活していた場合
親族から生活費の援助を受けていた場合や、自分の預貯金を取り崩して暮らしていた場合は、申告書の生活状況欄へ実際の状況を記入することがあります。
申告書に選択肢がある場合は、「親族からの援助」「預貯金」など、最も近い項目を選びましょう。
これらの欄は、自治体が前年中の生活状況を確認するために設けているものです。
申告書に欄がない場合、自己判断で余白へ詳しく書く前に、担当課へ記入方法を確認すると安心です。
元市役所職員が解説する、申告書でよくある間違い
白紙提出や所得欄への0円の書きすぎに注意する
収入がないからと、氏名だけを書いてほぼ白紙で提出すると、無収入なのか記入漏れなのか確認できない場合があります。
一方、申告書にあるすべての収入・所得欄へ0円を書くと、自治体が指定する生活状況欄を見落としてしまうこともあります。
自治体によっては所得合計欄に0円を記入し、別に生活状況欄も書くよう案内しています。
「空欄にする」「0円を書く」のどちらかを一律に正解と考えず、手元の申告書の記入例を優先してください。
申告年度と収入の対象年を間違えない
市民税・県民税申告書では、申告書に記載された年度と、収入を申告する年が1年ずれています。
たとえば、令和8年度申告では、原則として令和7年1月1日から12月31日までの収入・所得・生活状況を記入します。
申告書を作成している現在の状況を書くのではありません。
途中まで働いていた人は、源泉徴収票や給与明細、通帳などで前年の収入を確認しましょう。
二度手間を防ぐため提出前に確認したいこと
提出前には、次の項目を見直しましょう。
- 申告年度と対象となる年を間違えていないか
- 1月1日時点の住所を正しく記入したか
- 収入なし・非課税所得・生活状況の欄を確認したか
- 生活費を負担した配偶者などの情報を記入したか
- 氏名・生年月日・電話番号に誤りがないか
- 個人番号や本人確認書類が必要か確認したか
- 必要な署名や添付書類を忘れていないか
申告書を手元に置いて電話をすると、担当者と欄の位置を確認しやすくなります。
提出先・必要書類・期限がわからないときの確認方法
窓口・郵送・電子申告の利用条件を確認する
市民税・県民税申告書は、原則として申告年度の1月1日時点で住所があった市区町村へ提出します。
年の途中で引っ越した場合は、現在住んでいる自治体ではなく、1月1日時点の住所地が提出先になるのが基本です。
提出方法には、窓口や郵送があります。
また、2026年度分からは、eLTAXによる個人住民税の電子申告が始まりました。
電子申告では、マイナンバーカード、電子証明書の暗証番号、対応するスマートフォンまたはパソコンなどが必要です。
紙での提出場所や受付期間、電子申告の操作方法については、提出先自治体の最新案内を確認してください。
本人確認書類や添付書類を事前に確認する
個人番号を記載した紙の申告書を提出する場合は、個人番号の確認と本人確認のため、マイナンバーカードなどの書類を求められるのが一般的です。
郵送では写しが必要になることもあります。
無収入であれば収入証明書が不要な場合もありますが、少額の給与や非課税所得がある場合は、源泉徴収票や受給状況がわかる書類を求められることがあります。
原本を提出すると返却されない自治体もあるため、提出前にコピーの要否を確認しましょう。
必要書類は、申告内容と提出方法によって変わるため、自治体公式サイトの最新案内を確認してください。
まとめ|迷ったら市民税担当課へ早めに相談しよう
収入がない専業主婦でも、扶養情報や証明書の必要性、自治体の申告不要条件によって、市民税・県民税申告書の提出が必要になる場合があります。
申告書を書くときは、氏名や住所だけでなく、「収入なし」「所得合計0円」「非課税所得」「前年中の生活状況」など、自分の自治体が指定する欄を確認しましょう。
少額でもパート収入があった場合は、単純な収入なしとして扱わないことも大切です。
また、遺族年金・障害年金・雇用保険の基本手当だけを受け取っていた場合は、通常の課税所得欄ではなく、非課税所得や生活状況の欄へ記入することがあります。
元市役所職員の立場からお伝えしたいのは、申告書はすべての欄を無理に埋めるものではなく、自分に該当する欄へ正しく記入することが大切だという点です。
申告が必要かわからないときや、どの欄へ書くか迷ったときは、書類を放置せず、市民税担当課へ早めに相談してください。
事前に確認してから提出すれば、書き直しや追加提出を防ぎ、安心して手続きを終えられます。