税金

市民税・県民税申告で源泉徴収票がないときは?代わりの書類と対処法を解説

市民税・県民税の申告をしようとしたものの、源泉徴収票が見つからず、「このままでは申告できないのでは」と焦っていませんか。

源泉徴収票を紛失した方もいれば、退職した勤務先から受け取っていない方もいるでしょう。

源泉徴収票がない場合でも、給与明細書など収入を確認できる資料を使って申告できる自治体があります。

ただし、代わりに使える書類や申告方法は、自治体によって異なります。

また、勤務先から自治体へ給与支払報告書が提出されていれば、市民税・県民税申告書そのものを提出しなくてよい場合もあります。

この記事では、源泉徴収票がないときの対処法や必要書類を、元市役所職員の視点からわかりやすく解説します。

源泉徴収票がなくても市民税・県民税を申告できる場合がある

まず勤務先から給与支払報告書が提出されているか確認する

前年の収入が給与だけで、勤務先から住所地の自治体へ給与支払報告書が提出されている人は、市民税・県民税申告が不要な場合があります。

まず勤務先の給与担当者へ、給与支払報告書を自治体へ提出しているか確認してみましょう。

そのうえで、自分が申告対象になるか分からないときは、自治体の住民税担当課へ相談してください。

窓口では、申告書が自宅に届いたことで「必ず提出しなければならない」と思い、慌てて来庁する方もいます。

源泉徴収票を探す前に、まず市民税・県民税申告が必要かどうかを確認することが大切です。

給与明細や給与支払証明書で申告できる自治体もある

源泉徴収票がなくても、毎月の給与明細書や、勤務先が作成した給与支払証明書などを使って申告できる自治体があります。

給与明細を使う場合は、前年中に勤務した全期間分をそろえ、賞与を受け取っている場合は賞与明細も準備しましょう。

一部の明細しか残っておらず、年間の給与収入を確認できない場合は、勤務先が作成する証明書などを求められる可能性があります。

手元の資料だけで申告できるか、事前に自治体へ確認すると安心です。

代わりに使える書類は自治体へ事前確認する

源泉徴収票の代わりとして認められる資料は、すべての自治体で同じとは限りません。

給与明細で申告できる自治体もあれば、勤務先が発行する給与支払証明書などを求める自治体もあります。

窓口へ行く前に、次の点を確認しておきましょう。

  • 手元の給与明細で申告できるか
  • 何月分から何月分まで必要か
  • 賞与明細も必要か
  • 給与支払証明書の指定様式があるか
  • 原本の提示または写しの提出が必要か

手元にある書類の名称と期間を具体的に伝えると、必要な資料を案内してもらいやすくなります。

そもそも市民税・県民税の申告が必要か確認しよう

給与収入のみで給与支払報告書が提出されている人

前年中の収入が給与だけで、勤務先から自治体へ給与支払報告書が提出されている場合は、一般的に市民税・県民税申告は不要です。

ただし、年の途中で退職して年末調整を受けていない場合や、複数の勤務先の給与が正しく報告されていない場合などは、申告や確認が必要になることがあります。

申告書が届いた場合も、提出が必要とは限りません。

勤務先への確認とあわせて、自治体の公式サイトや住民税担当課で申告の要否を確認してください。

該当する場合は「収入なしの場合の市民税・県民税申告書の書き方」も確認してください。

👉収入なしの場合の市民税・県民税申告書の書き方

詳しくは「普通徴収と特別徴収の違い」で解説しています。

👉普通徴収と特別徴収の違い

医療費控除や社会保険料控除を追加したい人

勤務先から給与支払報告書が提出されていても、給与支払報告書に反映されていない控除を追加したい場合は、申告が必要になることがあります。

たとえば、医療費控除や、自分で納めた国民年金保険料・国民健康保険料などの社会保険料控除です。

窓口では、控除証明書だけを持参し、収入を確認できる資料を忘れてしまう方もいます。

控除を追加するときも、収入に関する資料と控除に関する資料の両方を準備しましょう。

所得税の確定申告をする場合は住民税申告が不要になる

税務署へ所得税の確定申告書を提出した場合は、その申告内容が自治体へ送られるため、原則として別に市民税・県民税申告書を提出する必要はありません。

ただし、所得税の確定申告に記載できなかった住民税関係の事項がある場合などは、自治体への確認が必要になることがあります。

同じ内容で確定申告と住民税申告の両方を提出すると、確認に時間がかかる可能性もあります。

どちらの申告をするべきか迷った場合は、提出前に税務署または自治体へ相談しましょう。

源泉徴収票を紛失した場合は勤務先へ再発行を依頼する

市役所では源泉徴収票を再発行できない

源泉徴収票を紛失した場合は、給与を支払った勤務先へ再発行を依頼するのが基本です。

自治体に給与支払報告書が提出されていても、市役所から源泉徴収票を再発行することはできません。

窓口では、「市役所にも給与の情報があるなら、源泉徴収票を出してもらえるのでは」と考える方もいます。

しかし、勤務先が本人へ交付する源泉徴収票と、自治体へ提出する給与支払報告書は別の書類です。

源泉徴収票の再発行先は、市役所ではなく勤務先です。

退職した勤務先にも再発行を依頼できる

すでに退職している場合でも、以前の勤務先へ源泉徴収票の再発行を依頼できます。

人事、総務、給与計算などを担当する部署へ連絡し、氏名、勤務期間、退職日、必要な年分を伝えましょう。

郵送を希望する場合は、現在の住所も正確に伝えてください。

前の職場へ連絡することに気まずさを感じるかもしれませんが、税金の申告に必要な書類として、落ち着いて依頼すれば大丈夫です。

再発行を頼むときの伝え方と確認事項

再発行を依頼するときは、次のように伝えると話がスムーズです。

「市民税・県民税の申告に必要なため、〇年分の給与所得の源泉徴収票を再発行していただけますか」

あわせて、次の点を確認しましょう。

  • 受取方法と発送予定日
  • 本人確認書類が必要か
  • 住所変更の連絡が必要か
  • 申請書や返信用封筒が必要か

申告期限が近い場合は、そのことも伝えてください。

メールの送信履歴や電話をした日を残しておくと、勤務先から交付されない場合の相談にも役立ちます。

勤務先から源泉徴収票をもらえないときの対処法

まず勤務先へ書面やメールで交付を依頼する

源泉徴収票を受け取っていない場合は、まず勤務先へ交付を依頼しましょう。

国税庁の案内では、給与所得の源泉徴収票は、原則として翌年1月31日までに交付することとされています。

年の途中で退職した人については、退職後1か月以内が交付期限です。

電話だけでなく、メールや書面でも依頼し、いつ、誰に、どのような内容を伝えたかを記録しておくと安心です。

交付期限を過ぎたら税務署へ不交付届を相談する

交付期限を過ぎても源泉徴収票が届かず、勤務先へ依頼しても交付されない場合は、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。

この手続きは、源泉徴収票を最初から交付されていない人が対象です。

一度受け取った後に紛失した場合は対象にならないため、勤務先へ再発行を依頼してください。

届出書には、給与明細の写しや、勤務先へ交付を求めたことが分かる記録などを添付します。

なお、不交付届を出しても、税務署が源泉徴収票を代わりに発行するわけではありません。

税務署から勤務先へ交付するよう行政指導が行われますが、自分からも引き続き勤務先へ連絡する必要があります。

勤務先が廃業・連絡不能の場合は自治体にも確認する

勤務先が廃業していたり、連絡先が分からなかったりすると、源泉徴収票を入手できないことがあります。

その場合は、手元にある給与明細、振込記録、雇用契約書などを整理し、市民税・県民税の申告先となる自治体へ相談しましょう。

所得税の確定申告も必要な場合は、税務署にも相談してください。

源泉徴収票がないからと収入を申告しないのではなく、確認できる資料をそろえて早めに相談することが大切です。

市民税・県民税申告で源泉徴収票の代わりになる書類

給与明細は1月から12月までそろっているか確認する

給与明細を使って申告する場合は、前年中に勤務していた全期間分がそろっているか確認しましょう。

1年間勤務していた場合は1月から12月分、年の途中で働き始めた場合や退職した場合は、その勤務期間分が目安です。

賞与を受け取っている場合は、賞与明細も必要になります。

明細が不足しているときは、金額を推測せず、勤務先へ再発行や給与支払証明書の作成を依頼してください。

勤務先に給与支払証明書を作成してもらう方法

源泉徴収票を用意できない場合、勤務先が作成する給与支払証明書を代替資料として認める自治体もあります。

ただし、証明書に必要な記載項目や指定様式は自治体によって異なります。

勤務先へ作成を依頼する前に、申告先の住民税担当課へ確認しましょう。

指定様式がある場合は、その用紙を勤務先へ渡すことで、書類の作り直しを防げます。

手取り額ではなく税金等を引く前の総支給額を記入する

申告する給与収入は、銀行口座へ振り込まれた手取り額ではありません。

原則として、所得税や住民税、社会保険料などを差し引く前の、課税対象となる給与額を確認します。

ただし、給与明細の「総支給額」には、非課税となる通勤手当などが含まれている場合があります。

どの欄を合計すればよいか分からないときは、勤務先の給与担当者や自治体へ確認し、自己判断で金額を書かないようにしましょう。

元市役所職員が解説する申告前の持ち物チェック

申告書・本人確認書類・マイナンバー確認書類

市民税・県民税申告書には、原則としてマイナンバーを記載します。

窓口へ提出するときは、マイナンバーカードなど、番号確認と本人確認ができる書類を準備しましょう。

マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーが記載された住民票の写しと運転免許証など、複数の書類が必要になることがあります。

郵送の場合は写しの添付が必要になるため、申告先自治体の案内を確認してください。

社会保険料や生命保険料などの控除証明書

社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などを申告する場合は、支払額が分かる証明書を準備します。

医療費控除を受ける場合は、医療費控除の明細書などが必要です。

窓口では、給与の資料は持っていても、控除証明書を自宅に置いてきてしまう方もいます。

申告したい控除を先に書き出し、書類をひとまとめにしておくと忘れ物を防げます。

窓口で二度手間を防ぐために電話で確認したいこと

来庁前には、次の点を申告先へ確認しておくと安心です。

  • 自分は市民税・県民税申告が必要か
  • 手元の給与明細で申告できるか
  • 不足している書類は何か
  • 窓口の予約が必要か
  • 郵送や電子申告に対応しているか

職員側から見ても、「源泉徴収票がありません」とだけ伝えるより、給与明細が何月分あるか、勤務先に連絡できるかなどを説明してもらえる方が案内しやすくなります。

市民税・県民税申告でよくある質問と期限後の対応

申告期限を過ぎても提出できる?

市民税・県民税の申告期限を過ぎた場合でも、多くの自治体では期限後の申告を受け付けています。

令和8年度の申告期限は、3月15日が日曜日だったため、多くの自治体で2026年3月16日とされました。

期限後に提出すると、市民税・県民税の税額通知や所得・課税証明書への反映が遅れる場合があります。

国民健康保険料や各種給付の判定が、後日変更される可能性もあります。

期限を過ぎたことに気づいたら、そのままにせず、できるだけ早く自治体へ相談しましょう。

給与明細が一部しかない場合はどうする?

給与明細が一部しか残っていない場合、その資料だけでは前年中の給与収入を正確に確認できないことがあります。

まず勤務先へ、源泉徴収票や不足している給与明細の再発行、給与支払証明書の作成を依頼してください。

すぐに用意できない場合は、手元にある資料を申告先へ具体的に伝え、ほかに何を準備すればよいか確認しましょう。

複数の勤務先のうち一社分だけ源泉徴収票がない場合は?

前年中に複数の勤務先から給与を受け取った場合は、原則としてすべての給与収入を申告に反映させます。

一社分だけ源泉徴収票がないからと、その勤務先の収入を除いて申告するのは避けてください。

不足している勤務先へ再発行を依頼し、間に合わない場合は給与明細や給与支払証明書で対応できるか自治体へ相談しましょう。

まとめ|源泉徴収票がないときは勤務先と自治体へ早めに確認する

紛失なら再発行、未交付なら税務署への相談を検討する

源泉徴収票を紛失した場合は、勤務先または以前の勤務先へ再発行を依頼するのが基本です。

交付期限を過ぎても受け取れず、勤務先へ求めても対応してもらえない場合は、税務署へ源泉徴収票不交付の届出を相談しましょう。

市役所では、源泉徴収票そのものを再発行できません。

源泉徴収票がない理由に応じて、相談先を分けることが大切です。

代替書類の取扱いは申告先自治体の案内を優先する

給与明細や給与支払証明書で申告できる場合はありますが、必要な書類や受付方法は自治体によって異なります。

最初に市民税・県民税申告が必要かを確認し、必要な場合は手元の資料で対応できるか住民税担当課へ尋ねましょう。

源泉徴収票がなくても、勤務先、自治体、税務署へ順番に確認すれば、次に取るべき行動が見えてきます。

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